トルコのシノップ原子力発電所計画 首相が韓国に交渉再開要請

韓国大統領府は6日、トルコが黒海沿岸・シノップで計画している原子炉4基の建設について、2基を韓国が建設する方向で交渉を再開する見通しになったと発表した。福島事故により、優先交渉権を持つ日本との交渉再開にメドが付かないなか、トルコの首相は一旦は打ち切った韓国との交渉再開を要請。韓国政府による建設費の融資、完成した原子炉からの電力販売でコストを回収するという方式で合意点を見いだす方向で調整する。

これは韓国が2009年末にアラブ首長国連邦(UAE)から原子炉建設計画の受注に成功した際と同様、李明博大統領によるトップ・セールスの賜。中東国家歴訪の第1か国目としてトルコを訪問していた同大統領は、同国のR.T.エルドアン首相(=写真右)と自由貿易協定(FTA)交渉の妥結について合意するとともに、昨年時点で約9億ドルに達した韓国の対トルコ投資に関して支援を申し入れた。

200億ドル規模と言われるシノップ原子力発電所計画については、エルドアン首相から韓国の参加を要請したと韓国大統領府は明言。2010年の交渉時には原子炉の設置位置や売電価格、トルコ政府による保証などの点で合意に至らず交渉が打ち切られたことから、今回の要請がトルコによる価格面での譲歩を示唆するかもしれないと韓国政府は期待している。

UAEの建設計画受注以降、韓国は世界でも有数の原子力輸出国となるべく様々な機会を伺っており、トルコとは2010年6月、シノップで韓国電力が開発したAPR1400の建設を想定した共同調査を実施することで協力協定に調印していた。トルコ政府は韓国との交渉を打ち切った後は、日本政府および東芝と交渉を開始。福島事故による交渉中断後も「2019年という完成スケジュールにはまだ間に合う」として日本に再開を促していたが、昨年7月以降は日本の優先交渉権を打ち切るとの報道も流れていた。


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