エネ調・基本問題委 エネルギー供給事業者よりヒアリング 電事連、震災後の需給状況 原子力停止で火力増

経済産業省の総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会(委員長=三村明夫・新日本製鉄会長)は14日、前回9日の省エネルギー・節電対策に関する議論に続き、電気事業連合会他、主要なエネルギー供給事業者からのヒアリング、エネルギー安全保障について、6名の委員から論点提起を受け討議を行った。

電事連からは、八木誠会長が説明に立ち、これまでの「安定供給確保」(Energy security)、「経済性」(Economy)、「環境保全」(Environmental conservation)の「3E」に、「安全」(Safety)を加えた「S+3E」を基本的観点に掲げ、委員会に課せられたエネルギーミックスの検討に向け、「総合的、定量的かつ時間軸を踏まえた検討」がなされるよう求めたほか、原子力については、福島事故に対する猛省を述べた上で、「エネルギーミックスの一翼を担う電源として、これまで同様にしっかりと位置付けるよう」訴えた。また、震災以降の需給状況については、原子力発電の停止分代替により、火力発電の発電量に占める割合が、10年度の約49%から11年12月には約72%にまで上昇するなど、「非常に厳しい」とし、需給の両サイドからの各電力ごとおよび電力会社一体となった取組状況を述べた(=表)。原子力については、人材確保の必要、安全性向上のための取組、核燃料サイクルの意義などを強調、再生可能エネルギーの導入、火力発電の効率化についても述べた上で、「各エネルギー源ごとの長所・短所を踏まえ、「バランスのとれたエネルギーミックスを実現することが重要」としている。

この他、石油、天然ガスの業界からは、分散型エネルギーとしての緊急時における利点などが説明された。

エネルギー安全保障に関する議論では、安定供給に加え、原子力については、新興国での増設に備えた技術の継承や、安全なプラント輸出といった国際的貢献・責務に関する観点も示される一方、事故の経験から「人間の安全保障」、反論を唱える人文学者の多いことから文明論的視座の必要なども指摘された。

今後、基本問題委員会では、エネルギーミックスの選択肢提示に向けて議論を深めていき、3月9日を目途に委員からの意見集約を図る予定。


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