福島スタイルの復興確立へ ISTCが福島復興セミナー

国際科学技術センター(ISTC)およびウクライナ科学技術センター(STCU)の2国際機関は4日、福島市内で、福島復興セミナーを開催した。チェルノブイリ事故克服の経験をもつウクライナ、ベラルーシ、ロシア等から、行政、研究所、医療、NPO等の関係者を招き、除染、環境修復に関する研究成果や技術・経験について議論を行なった。

冒頭挨拶で、細野環境相・原発担当相は「海外の事例から学ぶべきところは多々あり、日本スタイル、福島スタイルの復興を確立したい」、佐藤福島県知事は「復興には、まず除染が必要であり、次年度予算でも相当額を計上している」と述べた。

福島における除染の取り組みについて、石田JAEA福島環境安全センター長および冨田福島市政策推進部長より報告が行なわれた。

健康と農業の視点からのパネル討論で、英国放射線化学物質環境センターのメアリー・モリー氏は「目標は放射線防護よりも幅広い。混乱や不安の最小化、復興の迅速化など、地域の関心や課題を理解し、全ての関係者が関与することが重要」「住民の信頼獲得には、政府から独立した立場ということが重要」と述べた。

教育、情報共有、行政の視点からのパネル討論では、ロシア−ベラルーシ情報センター・ベラルーシ支局のソボレフ情報分析課長から、同国では「全国に約50の地域情報センターを設置して、放射線の知識や日常生活における対処法に関する『実践的な放射線文化』の教育を行なっており、日本でも同様のセンターを設置して、教育や一元的な情報提供を行なうのがよい」との提案があった。

ウクライナ・大統領直轄・戦略調査研究所のオレグ・ナスビット主席専門官は、同国では「国際的組織の支援を受けつつ、住民や自治体が主導的に復興を進めるほうが成功した」と語った。

福島復興に向けてのパネル討論は、大場恭子金沢工業大研究員の司会により行なわれ、「リスクの大きさの相場観をもつには双方向の対話が重要」「住民、行政、専門家の間の不信感が復興の課題。三者が共通の具体的な目標をもって連携することが必要」とまとめられた。


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