「技術選択肢」議論大詰め 原子力委員会 核燃料サイクル検討

原子力委員会の技術検討小委員会(座長=鈴木達治郎・原子力委員長代理)は16日、核燃料サイクルの技術選択肢について議論し、前回会合で整理した安全性、経済性、資源有効利用、核不拡散・セキュリティ、廃棄物の評価軸により、「第1ステップ」まとめの骨子を示したほか、次回から「第2ステップ」として本格議論に入る政策選択肢に関する重要課題に関して委員から意見を求めるなどした。

小委員会で検討を行ってきた核燃料サイクルの技術選択肢は、すべての使用済み燃料を直接処分する「LWRワンススルー」、プルトニウムをリサイクルした後の使用済み燃料は直接処分する「LWR―MOX限定リサイクル」、軽水炉から回収されるプルトニウムを軽水炉のみで利用する「LWR―MOXリサイクル」、超半減期核種を変換し廃棄物の容量・毒性を低減する「LWR―FR(アクチノイド専焼)」、使用済み燃料を全量再処理し将来はプルトニウムを主燃料とする高速増殖炉(FBR)を利用する「FBR」の5例で、今回骨子では、これらに対し各評価軸ごとにコメントを示している。

安全性については、前回会合で指摘のあったライフサイクルでの被ばくリスクについて、核燃料サイクル主要工程ごとの被ばく量概算値により、ワンススルーとリサイクルの間で大きな差はないことを示した上で、いずれの選択肢でも被ばく線量は基準値を下回るなどと総括した。

経済性については、現状で「LWRワンススルー」は最もコストが安いが、ウラン価格上昇に伴う発電コスト増の影響を受けやすいことから、将来的にMOX燃料の資源価値が上がる可能性を指摘している。

核不拡散・セキュリティに関しては、ワンススルーが最もリスクが少ないが、他の燃料サイクルでは、それぞれの技術に対応する適切な保障措置、セキュリティ対策の強化が必要となるとしている。

廃棄物については、再処理することで、低レベル廃棄物は増加するものの、処分場の専有面積に影響の大きい高レベル廃棄物の発生量は低減することから、全体の処分面積を抑える方策として、FBR導入も有効などとしている。また、前回会合でも掲げた米国の「ブルーリボン委員会」によるバックエンドに関する報告書についても合わせて述べ、放射性廃棄物管理施設の初期サイト選定における基準開発、地域の関心表明、マイルストーン設定などについて、勧告事項を紹介した。

鈴木座長によると、次回会合で、使用済み燃料貯蔵他について、専門家からのヒアリングを行った上、「第1ステップ」の総括につなげていくが、続く「第2ステップ」での政策選択肢に関する検討に向けては、時間軸も重視し、また、経済産業省の総合資源エネルギー調査会における「エネルギーミックス」の議論も踏まえながら、具体的「シナリオ」を提示したいとしている。


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