SMR認可支援、前年度並み 米エネ省の2013年度予算要求

米国のB.オバマ大統領は13日、今年10月から始まる2013会計年度の予算編成方針を示した予算教書を議会に提出したが、米エネルギー省(DOE)のS.チュー長官はDOE予算要求額である272億ドルの詳細について説明した。廃棄物処分関係費も含め原子力関係予算全体がマイナス成長となったものの、小型モジュール式原子炉(SMR)の許認可技術支援費については、ほぼ前年度並みの6500万ドルを計上、商業化に向けて政府が積極的に後押ししていく方針を明らかにした。

オバマ政権のエネルギー予算では(1)技術革新(2)クリーンエネルギー(3)国家保障――に対する投資が重要視されており、「米国人が開発したクリーンエネルギー技術で米国人がエネルギーを作り、世界に向けて輸出する」というのが基本コンセプト。ただし、史上2番目の規模と言われる国家財政赤字を背景に、原子力関係予算は対前年度比10.3%減の7億7044.5万ドルに留まった。また、このうち1000万ドルは、原子力産業界が電気料金に上乗せして積み立てた「放射性廃棄物基金」の中から廃棄物処分対策用に手当てするとしている。

原子力関係予算中、最も金額が大きいのは「燃料サイクル研究開発費」の1億7543.8万ドル。使用済み燃料の安全な貯蔵に関する複数年度の評価作業は初期活動が終わったため12年度予算より1080万ドルの減額となったが、全体の22.7%を占める。

国内の原子力発電所から出る使用済み燃料および高レベル放射性廃棄物(HLW)の管理処分方法について審議していた有識者(ブルーリボン)委員会(BRC)は1月に最終報告書をDOEに提出。その勧告に合わせた内容で、すべての放射性廃棄物を貯蔵、輸送、処分するための研究開発継続に6000万ドルを計上した。廃棄物の最良の管理処分方法について地元の同意ベースで決定されるよう、技術オプションを探っていく。廃棄物基金からの1000万ドルは、BRCが勧告した管理シナリオの評価に使われる予定だ。

35.9%の大幅減となったのは「原子炉概念の研究開発および実証費」で要求額は7367.4万ドル。これには先進型SMRや高温ガス炉など次世代原子力プラント(NGNP)実証計画を含めた第4世代原子炉開発、既存軽水炉の運転寿命延長支援研究開発などが含まれている。

ただし、12年度に初めて6700万ドルの予算が付いたSMRの「設計認証および許認可活動支援費」については、ほぼ同額の6500万ドルを要求した。産業界との経費分担により2設計の商業化を加速し、エネルギー供給保障や温暖化対策にも寄与できるよう、初号機の設計・エンジニアリング、試験、分析および米原子力規制委員会(NRC)の設計認証(DC)取得に向けた活動を支援していく。また、2つの事業者あるいは企業連合に対しては、特定のサイトにおける運転許可申請を支援するとしている。


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