バルチック原発に設置へ 露の仏製タービン国産化計画

ロシアの総合原子力企業・ロスアトム社の傘下で発電機器製造を担当するアトムエネルゴマシュ社はこのほど、仏国アルストム社との合弁事業体であるAAEM社がロシアのバルチック原子力発電所1、2号機にタービン系統機器を供給することになったと発表した。

ロシアが内外で建設する原子炉に、アルストム社のライセンス技術に基づく発電機器を装備するという国産化計画は徐々に軌道に乗りつつある。

今回の契約総額は350億ルーブルで、2007年に発足したAAEM社としては初の受注。アルストム社が開発した低速タービン「アラベル」と発電機、復水器、湿分分離加熱器および補助機器のうち、50%ほどをロシア国内で製造するが、将来的にはこれを70%以上に拡大する計画。今回の契約案件も含め、アルストム社は仏国ベルフォート工場で一部の機器生産を支援することになっている。

ロシアでは低速タービンの経済性の低さから、ソ連崩壊後は製造工場を廃止してしまったが、現在主力商品として輸出に力を入れているAES−2006のように120万kW級のVVER(ロシア型PWR)では低速タービンの使用が妥当と判断。ロシア側から51%出資する取り決めでAAEM社を設立した。

バルチック発電所はロシア国内でも最も東欧寄りに位置しており、周囲をリトアニアとポーランドに囲まれたロシアの飛び地という特殊な環境。昨年11月に1号機の建設許可が規制当局から発給された。2基のAES−2006を2016年と18年の運開目指して建設するが、発電電力はロシアのみならず近隣諸国に輸出する計画で、建設経費も外国からの投資を含める方針。

アラベルの技術に基づくタービン発電機器を装備する原子炉計画ということで、アトムエネルゴマシュ社では外国の投資家募集にも有利に働くとの考えを示している。


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