新大綱策定会議、サイクル技術の検討結果 「長期的にはFBR有用」 MOX燃料利用は実用化段階

原子力委員会の新大綱策定会議は2月28日、核燃料サイクル検討の「第1ステップ」のまとめとして、技術選択肢に関する評価結果の報告を同委小委員会より受けた。小委員会では年明けより、ウラン―プルトニウム体系を中心に、ワンススルー、MOX燃料リサイクル、高速増殖炉サイクル(FBR)等、核燃料サイクルの5つの技術選択肢について、安全性、資源有効利用、経済性、核不拡散・セキュリティ、廃棄物といった視点を「評価軸」に検討を進め、このほど、今後20〜30年を見通した場合、実用化段階にあるのは、MOX燃料リサイクルとワンススルーで、それ以降の長期的な選択肢としては、FBRが最も優れた特徴を有するなどと結論付けた。

「第1ステップ」のまとめで、軽水炉で発電し使用済み燃料再処理を繰り返す「LWR―リサイクル」の選択肢については、リサイクルの限界を見込むべきといった意見から、「LWR―多重リサイクル」と名称を替えた他、「評価軸」としては、技術成立性を加えて、研究開発段階から、経済的実証を経て、実用化に至るまでの「時間軸」も示唆して、続く「第2ステップ」以降の議論へつなげていくこととした。

経済性の評価では、ウラン価格の影響を受けやすいものの、ワンススルーの経済性優位が今後20〜30年続く可能性が高いとしており、MOXリサイクルは今後の再処理・MOX価格の影響を受けやすく、FBRは研究開発の成否に依存するなどと評価した上で、「ワンススルーが最も経済的」と結論付けている。

また廃棄物処理・処分に関しては、選択肢ごとに放射性廃棄物の量・有害度で差はあるものの、総合的には、どの選択肢でも、技術的困難度やリスクに大差はないとしており、いずれも地層処分の必要を明言している。

策定会議では、この他、前回会合までに確認した原子力発電に係る論点整理を踏まえ、放射性廃棄物の処理・処分、技術力維持・人材育成について議論が行われた。

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小委員会は、23日の会合で、「第1ステップ」の取りまとめに続き、「第2ステップ」の政策選択肢の重要課題として、使用済み燃料管理などについて事務局から説明を受け、六ヶ所再処理工場の使用済み燃料貯蔵量が9割を越え、各発電所でも余裕がなくなりつつある現状が浮き彫りになった(=4面に現状)。


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