安全文化の重要性を指摘 政府・事故調 国際専門家からヒア政府の福島原子力発電所事故調査・検証委員会(委員長=畑村洋太郎・東京大学名誉教授)は2月24、25日、都内ホテルで会議を開き(=写真)、5名の国際専門家からコメントを求めた。専門家からは、主に同委員会が12月にまとめた中間報告で評価・提言された被害拡大防止、シビアアクシデント対策、安全規制のあり方の他、安全文化の重要性も指摘された。終了後の記者会見で、畑村委員長は、「たくさんの議論ができ、非常に実りある会議だった」とする一方、「『ありえないと思うことも起こる』と考えないといけない」などと、これまでの調査に対する反省の意も述べた。専門家一行は、会議に先立つ23日に、福島第一発電所を視察している。 記者会見で、リチャード A.メザーブ・米国カーネギー研究所理事長は、「全体像をつかむ努力が見られた」などと委員会の活動に一定の評価を示す一方、今後の調査に向け、根本原因を突き止める必要を求めたほか、日本の原子力に対する不信感の高まりを憂慮し、規制の透明性を重ねて説明する重要性を述べた。また、IAEA・安全グループ(INSAG)の議長も務める同氏は、原子力関係者が有するべき「安全第一」の姿勢を強調した上、外圧にも耐える個人責任、組織マネジメントにも言及した。 IAEAの総合評価ミッションで来日経験のあるアンドレ・クロード・ラコステ・フランス原子力安全庁長官は、「過去の臨界事故の教訓は活かされているのか自問すべき」などと、今後のシビアアクシデント対策に向け、警鐘を鳴らしたほか、放射線医療が専門のラーシュ・エリック・ホルム・スウェーデン保健福祉庁長官は、SPEEDIの活用、住民の健康影響対応のフォローアップ、リスクコミュニケーションのあり方などについて指摘した。また、チャン・スンフン・韓国科学技術院教授は、「情報発信が遅れることで、海外からの信頼も損ねる」などと、隣国としての不安を述べたほか、今後の事故調査・検証に向けて、シミュレーションの必要などを指摘した。 |
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