場所や形状に応じた除染 モデル実証事業 回収法にも配慮
内閣府は、日本原子力研究開発機構に事業委託し、警戒区域と計画的避難区域等の12市町村を対象に除染の効果的な実施に必要となる技術の実証実験を行っている。効果を確認した後は、各自治体の作成した除染工程に沿って、本格的な除染に着手していく。
▽高圧水洗浄
宅地や建造物の屋根や壁等などが対象。温水洗浄機や回転ブラシ等を用い、高圧水(1.5MPa程度)で洗浄する。洗浄水は側溝に堰を設けるなどして可能な限り回収し、ゼオライト処理により放射能を除去する。部分的に破損した屋根には、スポンジやパックを利用する。
▽高吸着スポンジによる除去
破損した屋根、窓、形状の複雑な箇所などが対象。セシウム高吸着スポンジ(フェロシアン化物フィルタ)内にセシウムを吸着させる。ナノスケール(超微小)の穴の中にセシウムが吸着し、絞っても、セシウムは出てこない。
▽ショットブラスト
コンクリート面などが対象。数mmの鉄球の粒を壁面などにぶつけ、壁表面を薄く除去する。回収した鉄球は磁石で分離して再利用する。
▽アイスブラスト
コンクリート面などが対象。ドライアイスの粒(ペレット)を壁面などにぶつけ、壁表面を薄く除去する。ペレットは壁等の衝突後に気化するのでブラスト材の回収は不要。
▽剥離剤による除去
瓦や壁などで形状が複雑な箇所や水を使用したくない場所に有効。はけで剥離剤(洗濯糊のようなもの)を塗り、1日程度乾かしてから剥がす。
▽剪定
植え込みや高木は剪定して、付着した放射性物質を葉や枝ごと除去する。
▽表層の土壌除去
芝地や樹木の根元等は、芝や苔等とともに表層約5cm程度を剥ぎ取る。
▽スピンジェット
道路(舗装面)などが対象。超高圧水を舗装の空隙部に進入させる。排水を同時に回収することが可能。
▽機能回復車
道路(舗装面)などが対象。高圧洗浄とキャビテーションジェットにより、土砂等を遊離除去し、ブロア及び真空吸引により回収する。
▽TS切削機
舗装面表面を数mm切削する。切削後、オーバーレイ(密粒度圧コン)を実施。
▽下草刈り・枝打ち・落ち葉除去
森林が対象。生活空間から近いところから着手し、除染の効果を見ながら除染方法と範囲を検討して進めていく。高木に対しては、高所枝打ち機なども導入する。下草刈り後の下草および落ち葉や落ち枝等は、吸引作業車を用いて吸引集積・空気輸送を効率的に実施することで、放射性質が付着した落ち葉や表層土壌の舞い上がりを抑制できる。
▽土壌固化剤散布・剥ぎ取り
固化剤吹き付け後、表層の土壌を剥ぎ取る。剥ぎ取る表層の厚さを抑制でき、除去物の減容化が図れる。マグネシウム系の固化剤を利用して、安全な農作物の生産が継続できることに留意する。
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