信頼得られる組織に 保安院 事故広聴・広報で議論

原子力安全・保安院は15日、第2回「原子力安全広聴・広報アドバイザリー・ボード」(委員長=和気洋子・慶應義塾大学教授)を経産省内で開き(=写真)、福島第一原子力発電所事故を受けた政府の広報体制や情報の伝達・公表のあり方などを議論し、今後の規制新組織などへ反映させていく。

広聴・広報のあり方について、黒木慎一審議官は(1)先方の関心事項は何か。事前には分からないが想像力を発揮させること(2)分かりやすい資料と分かりやすい説明(3)安全情報だけでなく非安全側の情報も、分かっていることといないことを区別して説明(4)結果の説明だけでなく検討のプロセスも説明──などに努めてはいるが、対象者も様々であり、臨機応変な対応が求められるとした。

保安院では3月に、防災課が行った避難地域の住民や自治体職員を対象にした調査とは別に、広報課がインターネットを活用した全国民対象の調査を行い、在京の大使館員や報道関係者、同保安院職員からもヒアリングを行いたいとしている。

アンケート調査は、(1)原子力災害発生後に必要とした情報とその情報源(2)原子力災害時に保安院および国が行った広報活動について(3)今後の規制機関の広報に対する期待──の3構成で、それぞれ細かな設問の選択肢から回答するようになっている。

昨年6月から保安院の広報官を務めてきた森山善範・原子力災害対策監は、「組織の意志決定の場にいないと、広報もできない。保安院職員も意志決定の場にいなくて、応えなければならないところに苦しみがあったのではないか」と述懐し、生データを集めることの重要性を指摘した。また同氏は、「全てを1人でできるわけではなく、分からないことは分からないとはっきり言い、後で分かる人に対応してもらうこと」の重要性も自らの体験から語った。

委員からは、「組織に対する信頼感があるかないかで、受け手の反応はかなり異なる。信頼に足る組織にいかになれるかが、ポイントだ」、「コミュニケーションは双方向性が重要。許容できる限度は個人の価値観で異なる。相手を裏切らない誠実性が重要。信頼は相手が判断することであり、組織の中にコミュニケーションの専門性も必要」などの意見が出された。


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