SBO対策、津波評価他 安全委指針類 原災踏まえ見直し進む

原子力安全委員会は、22日の臨時会議で、同委専門部会長らより、安全設計審査指針など、3指針類の見直しを柱とする福島原子力発電所事故を踏まえた検討状況について報告を受けた。11年3月の大地震・津波、これに伴う原子力災害の教訓から、安全確保策の抜本的見直しに向け、昨夏より、同委の専門家会合で審議を進めてきたもの。

これを受け、班目春樹・安全委員長は、事故の教訓を踏まえた調査検討に関し、「すべてが抽出され尽くしているわけではない」などとして、各部会による今回の検討状況が、あくまで途上にあることを強調した上で、今後、原子力安全規制体系の見直しが見込まれることから、「原子力規制庁の下で規制に係る具体的基準等が鋭意整備されていくもの」などと述べた。

安全設計審査指針の見直しでは、特に、「指針27」関連で、全交流動力電源喪失(SBO)対策について優先的に検討を行い、(1)SBOの発生頻度を合理的に達成できる限り低いものとする(2)SBOが発生した際には原子炉を安全に停止し停止後の冷却を確保し復旧できる(3)炉心および使用済み燃料プールに貯蔵された燃料の損傷を防止するための措置ならびに損傷に至った場合も環境放出を低減するための措置が可能――を今後のSBO対策の基本的考え方として提言している。その上で、SBO対策に係る技術的要件を抽出し、指針に反映すべき事項を整理した。例えば、SBO発生時の原子炉等の冷却手段については、「非常用電源とは独立した代替電源の設置を求め、これにより原子炉停止後の冷却を確保すること」を指針に反映することとしている。また、SBO対策に引き続き、最終ヒートシンク喪失対策に係る検討も行った。

耐震設計審査指針の見直しでは、津波について、これまで地震随伴事象として、わずかな記述に留まっていたところ、独立した項目立てとし、基準津波の策定など、津波評価に必要な規定を設けるとともに、名称を「地震・津波指針」(略称)に変更することも提言している。また、マグニチュード9の地震が想定できなかった理由について、地震調査研究推進本部からヒアリングを実施するなど、地震動評価の向上に関する検討も行った。

防災指針の見直しでは、防災対策を重点的に実施する区域として、「予防的防護措置を準備する区域」(PAZ)および「緊急防護措置を準備する区域」(UPZ)の設定と、区域ごとの防護措置内容について述べているほか、緊急時モニタリング、安定ヨウ素剤の予防的服用など、被ばく医療のあり方についても、防災対策に係る専門的・技術的事項を提言しており、これらを踏まえ、防災基本計画、地域防災計画、関係法令・規定類等の見直しが図られるよう求めている。


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