日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編(17)〉100ミリSv未満の被ばくならDNAは修復100ミリシーベルト(ミリSv)未満の被ばくでは損傷したDNA(デオキシリボ核酸)が元通りに正しく修復されると考えられます。健康調査をしっかりして、長寿の福島県になってもらいたいと思います。 ゲンくん 新聞にもよく100ミリSv未満の被ばくからは有意なガンの増加は見られないと書いてあるけど、どうしてなの。 テツにぃ 理由のひとつは、損傷したDNAは修復されるからです(損傷したDNAがガンの原因になることは、本紙2011年3月31日付け「広く利用されている放射線(12)」参照)。DNAの修復を考慮しないことは放射線の影響を少なくとも安全側に評価することになるので、ICRP(国際放射線防護委員会)は規制の考え方に、この修復効果を採用しませんでしたが、私たちには人体防御システムとしてのDNAの損傷を修復する能力が備わっていることを忘れてはいけません。 ゲンくん 損傷したDNAが修復される目安としては、だいたい100ミリSvと考えればいいんだね。他にDNAが修復されることを示す例はないの。 テツにぃ ガンの放射線治療では、正常な細胞にも放射線が当たる場合があります。放射線医学総合研究所の米内俊祐氏らは、「正常組織の低線量域の増加と2次がんリスク」においてフランスで行われた大掛かりな調査結果から、1回当り150ミリSv程度の照射を受けた周りの正常な細胞からガンが新しく作られたケースは報告されていないと述べています。アリソン・オックスフォード大学名誉教授は、安全な放射線のレベルとして、著書「放射能と理性」の中で、放射線を1回浴びる場合は100ミリSv、何回か浴びる場合には、100ミリSv/月と述べています。ところで、長崎大学の三根真理子准教授による長崎市の原爆生存者の調査結果を見ると、死亡率が被爆していない人に比べて1000ミリSv未満では相対リスク(普通の人の死亡率に対する割合)が1.0より下まわっており(死亡する人が少ない、即ち長生きしている)、結果として、平均寿命の増加が見られます。2011年10月7日付けの、「たむらと子どもたちの未来を考える会(AFTC)」のコラム「福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一先生へ」にも次のように書かれています。『今後、福島県民の平均寿命が延びるだろうと言われています。これは、癌検診率の向上に起因します。癌の早期発見が死亡率を下げるのです。広島、長崎の平均寿命が、原爆投下後延びたようにです。福島県は、世界一長寿で有名な県になるのかも知れません』。 ゲンくん 健康管理調査がきちんとされて、福島県の方々が1日でも長生きされるといいね。苦しんだ人が苦しんだ以上にたくさん幸せになってもらいたいし、災いを転じて大きな福となるといいな。 (原産協会・政策推進部) |
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