ブルガリア ベレネ計画の2基は断念 コズロドイの1基に差し替える案浮上

ブルガリア議会は3月29日、ロシア型PWR(VVER)2基の建設が予定されていたベレネ原子力発電所計画を断念するとの政府決定を120対45で承認した。

かねてよりネックとなっていた資金調達問題が原因で、代わりに原子力インフラが整った既設のコズロドイ原子力発電所に、ベレネ計画用の機器を流用して新たな原子炉を1基建設する案が浮上。すでに11日の閣議で原則決定されたとの報道も伝えられている。

ブルガリアは欧州連合への加盟と引き替えにコズロドイ原発で稼働していた古いVVERを4基閉鎖しており、現在稼働しているのは5、6号機(各100万kWのVVER)の2基のみ。代替電源として、ルーマニアとの国境に近いベレネ地点で建設工事が中断していた2基を2014年までに完成させることとし、2008年1月にブルガリア電力公社(NEK)がロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社と建設契約を締結。100万kW級のVVER(AES92)設計を採用することになった。

しかし、2009年7月に発足した現政権はNEKが同計画に対し当初予定通り51%出資することは難しいと発言。これに伴い、49%の出資を約束していたドイツのRWE社は同年10月に同計画から撤退している。その後、ブルガリア政府は新たな投資家探しに奔走していたが、B.ボリソフ首相は今年3月28日、閣議後に「この計画はコストがかかりすぎ、実現不可能だ」と述べ、政府として計画断念の判断を下したことを明らかにした。

同計画ではASE社がすでに機器の一部を製造中であり、中止に伴うロシアへの保証問題が懸念されたが、ブルガリアの経済エネルギー省によると、両国のエネルギー大臣による協議の結果、ブルガリアが支払うべき額について今月末までに両国の作業グループが計算することで合意。ASE社が法的措置を取らないよう説得したことから、両国の友好関係に悪影響が及ぶことはないと明言している。

同国政府はまた、ベレネ用に調達済みの機器をコズロドイ原発で検討中だった7号機増設に利用することは「はるかに現実的」とする分析結果を公表。すでに既存の原子力インフラが整備済みであるため、戦略的な投資家の募集にも有利に働くほか、100万kW級原子炉1基の建設であれば、ブルガリアの財政能力およびエネルギー需要にも見合うと指摘している。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで