全原協 福島事故1年省み要請 国自らが被災地支援を

全国原子力発電所所在市町村協議会(=全原協、会長=河瀬一治・敦賀市長)は9日、政府に対して、福島原子力発電所事故から1年余りを経過した時点で、国民への原子力発電への安心・信頼を取り戻し、立地地域住民の理解を得るために解決しなければならない課題を盛込んだ「原子力発電に関する要請書」を提出した。

被災地の復旧・復興については、国が自ら被災市町村および被災者との意見交換を行い、現場に則した支援を実施すること、国が前面に立って速やかな除染を実施し被災者の1日も早い帰郷を実現することなどを要請。

安全安心の確保については、(1)安全規制体制の充実強化(2)防災体制の強化(3)情報連絡体制の強化(4)災害対応の強化(5)ヨウ素剤の配布・服用(6)住民対応の強化(7)健康管理体制の強化──を求めている。

また、今後の原子力政策については、(1)国の方針を明確に示すこと(2)国の強いリーダーシップの下に放射性廃棄物の最終処分の諸課題を解決すること(3)原子力安全は国が責任を持つ姿勢を具体化し実行すること──を要求。

特に、電源三法交付金の充実では、被災市町での復旧・復興への財政需要が高まっている中で、今後の復旧・復興に向けた町づくりへの影響が懸念される一方、その他の立地自治体でも福島事故以降、住民の原子力に対する意識が高まっており、住民理解のための新たな取り組みが必要になっている、と訴えている。

このため要請書では、(1)施設の解体撤去までを対象とした交付金制度の拡充・創設(2)事故対応やそのための基金などへの使途拡大および交付金の上積み(3)広報安全等対策交付金を堅持し、使途拡大および事務の簡素化(4)原子力発電所の再稼働や建設工事などの遅延および新たな原子力政策による立地地域の影響緩和のための特別な支援──などを求めている。

さらに、今回は特に、原子力発電所事故発生時に、住民が避難する際、自家用車などでの避難を余儀なくされ、道路の大渋滞を招き、迅速な避難行動が取れなかった経験から、全原協では、各立地自治体の実情に合わせた避難道路対策として、バイパス避難道路の新設、道路の片側2車線化、道路・橋梁などの耐震強化、大型車両などのための急勾配・急カーブの改善、島への架橋、県外への移動など広域避難用道路の整備などを要請している。


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