福島で水処理技術を受注 米のエナジーソリューションズ社

世界では現在、四百数十基の原子炉が稼働しており、このうち約3割が今後十数年の間に閉鎖時期を迎える。これらの廃止措置事業に関する市場は数千億円規模に成長すると見込まれ、廃炉や除染作業のみならず、燃料棒の取り出しや廃棄物のパッケージング・輸送など、専門的な技術と経験を有する企業が台頭しつつある。

米国ユタ州を本拠地とするエナジーソリューションズ(ES)社もそうした企業の1つで、廃止措置の計画から環境回復までのトータル・マネージメントでこれまでに10プラント以上の作業で実績を保有。また、ユタ州クライブとサウスカロライナ州バーンウェルにある米原子力規制委員会(NRC)認可の処分施設を運営しているほか、米エネルギー省のオークリッジ環境管理・廃棄管理施設やハンフォード環境修復貯蔵施設では開発・運営を手がけている。

液体廃棄物の処理については特に、米国の軽水炉における30年以上の処理サービスと技術開発・運用経験を通じて軽水炉廃液、サイクル施設や汚染地下水処理システム「ALPS」を開発。イオン交換、化学的前処理、高性能ろ過でイオン性不純物や浮遊粒子を除去できるモーバイルや設置型・システムで、3月には福島第一原発の汚染水処理を担当する東芝から、ALPSを含めた放射性廃液処理の技術支援で契約を獲得した。

日本政府が課した厳しい安全規制をクリアできるレベルまで除染可能となるよう、処理システムの設計・設置で東芝を支援する計画で、セシウム除去後の汚染水から様々な種類の放射性核種を除去するだけでなく、同プロセスで発生する2次廃棄物の処理とパッケージングも行っていく。納期が厳しいためES社は技術チームを日本に派遣し、東芝の設計チームと共同作業を進めている。また、今後の補修・サービスを容易にするため、機器設備は可能な限り日本で製造し、納入する方針だ。

国外ではこのほか、17か国で5000名以上の社員が事業展開しており、英国では原子力デコミッショニング機構(NDA)から22基の原子炉について運転、燃料棒の取り出し、廃炉サービスの管理を受託。今年2月には、アラブ首長国連邦(UAE)の原子炉導入計画で、主契約者の韓国企業から汚染水処理システムの設計・供給で4年契約を獲得している。


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