ウィリアム・マグウッド・米国原子力規制委員会(NRC)委員

今回の事故は事業者にも規制側にも大きな教訓を与えた。原子力規制の基盤強化の機会ととらえつつ、課題に対し正直かつオープンな態度で透明性を持って改善に取り組むことが、国民の信頼を回復し、引き続き原子力への政府の支持を得るための唯一の道である。

我々が得た主な教訓として、各プラントごとの特徴を理解して直面するリスクを把握すること、あらゆる事象を予測することは不可能であること、災害からの回復は災害への備えと同等以上に大切なこと、発電所内外の交流電源が共通原因で失われる可能性を認識することが挙げられる。

福島事故前から我々は認識していたが、原子力の4本柱は、(1)規制機関とプラント運転者は、技術経験が豊富で優秀な人員を確保する(2)規制機関とプラント運転者は、プラントの安全に関する事項について、迅速な意志決定をする(3)原子力プラントの運転と安全監督に関わるすべての組織は、効果的な安全文化を育成する(4)規制および運転上の決定は透明性を持たせる――ことである。

事故以降もNRCは、ジョージア州とサウスカロライナ州で第3世代+炉の建設と運転を認可し、さらに全米各地の電力会社から提出された10件の新規炉建設申請を審査中である。日本は今も原子力技術と原子力産業において超大国であり、世界は日本のリーダーシップに期待している。


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