ローレン・ストリッカー・世界原子力発電事業者協会(WANO)議長

今回の事故は、原子力産業界とパブリック・アクセプタンスを揺り動かした。産業界は、知識の共有を通じて、この事象から学び、今後の再発を防がねばならない。

チェルノブイリ事故を契機として、1989年に発足したWANOは、世界中の原子力発電所の運転上の安全性と信頼性を最高レベルに高めるため、協同でアセスメントやベンチマーキングを行い、相互支援、情報交換やベストの事例を学習することで、パフォーマンスの向上を図ることを使命とし、現在、118の事業者が加盟している。加盟国相互によるピアレビュー、行動計画策定、技術支援、フォローアップの好循環を回すことで、継続的向上を促すのだ。

さて、福島事故から6か月後、WANOの隔年総会が中国で開催されたのだが、これに先立ち、WANO・ポスト福島委員会は、(1)WANOの活動の範囲を拡大(2)世界的規模の総合的な事故対応戦略を策定(3)ピアレビュープロセスおよび成果物すべての品質を含め信頼性を改善(4)活動の透明性を改善(5)内部の一貫性を改善――に関する勧告を行い、総会で、会員から満場一致の支持を得た。これらの措置を進めるため、WANOでは行動計画を定め、スタッフと産業界の専門家からなる国際チームを設置し、特定のトピックに取り組んでいる。

パブリック・アクセプタンスの基礎は、事業者と規制者の双方の信頼性にあり、事故によって揺らいでしまった信頼性を回復するため、国際的な協調を通じて、安全に対するコミットメントを強めていきたい。


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