ベラルーシ 特命全権大使 セルゲイ・ラフマノフ 専門分野の蓄積で貢献

2011年4月、チェルノブイリ事故から25周年の記念式典が開かれた。ロシア連邦とEU諸国の間に位置するベラルーシ共和国は、チェルノブイリ事故の強い打撃を受けた。事故は、国の人口の25%以上が住む国土の20%近くに影響を与えた。

チェルノブイリ事故の汚染物質のうち約80%がベラルーシの国土に降った。セシウム137、ヨウ素131、ストロンチウム90、超ウラン元素などが拡散し、国の118地区のうち半分に被害を及ぼし、特にその中の21地区が現在最も影響を受けた区域とされている。13万8000人が汚染地域から強制避難により移住し、20万人が汚染地域から自主的に退去した。事故から30年に渡るベラルーシの被害総額は2350億米ドルで、事故前の1985年の国家予算32年分に匹敵する。

1986年の事故から長い道のりを歩み、現在ベラルーシは被災地の再生を進め、事故後管理の行政や科学的知見など様々な専門分野での貴重な経験を蓄積した国へと変貌した。

汚染地域住民140万人の健康管理を毎年無料で継続しており、特に子ども向けには、小児リハビリセンターでの医療支援やバランスのとれた食生活をサポートする無料学校給食など、きめ細かいケアを行っている。

環境放射線モニタリングシステムも整っており、基準サイトが122か所、地球科学研究用用地が18か所、ポスト159か所、放射線管理ユニット1000台が用意され、セシウムで1100万件のサンプル、ストロンチウムで1万8000件のサンプルが検査されている。汚染地域で作られたものはモニタリングが義務づけられており、核種で許容値を上回るものが出回らないようコントロールしている。

ベラルーシはこれらの他に類を見ない経験に基づくアドバイスを国際社会に対して多く発信している。福島事故に関しても、ベラルーシが蓄積した経験を適切に活用することが最も重要である。


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