「所長に連絡、問題」 国会事故調 勝俣会長からヒア

国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)が14日、第12回会合を参議院議員会館で開き、東京電力の勝俣恒久会長から事故当時の状況や耐震バックチェックの対応の仕方などについて話を聞いた(=写真)。

勝俣会長は、「安全確保については最優先でいろいろな対策をやってきた。今回のように設計ベースを大きく上回る津波が襲来し、これまで考えてきた安全対策がほとんど機能しなかった。最大限努力し、安全は保たれてきたと我々自身が思ってきた。地元の皆さんにはたいへん申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と語った。

事故時の対応については、格納容器内の圧力を抜くベントや海水注入の決断は発電所長が決めることになっており、本店はその支援を行う役割となっていることを説明した。また、事故直後には、自ら関係会社の社長に電話連絡し、注水重機の運転手確保を依頼していたことも明らかにした。

勝俣会長は、当時の菅直人首相らが「事故現場の最高指揮者に連絡するのは芳しいものではないと思った。混乱の原因になった」と述べた。菅首相は事故翌日の12日早朝、福島第一原子力発電所の免震重要棟に乗り込んだ際、当時の吉田昌郎所長の携帯電話の番号を聞き、東京に戻ったあとも時折、連絡を入れていたことを明らかにした。

事故調委員の野村修也氏(弁護士)が、2006年に原子力安全・保安院がスマトラ沖地震をきっかけに、津波で全電源喪失が起こる可能性について東京電力に指摘し、上層部に伝えるよう指示したとの内部文書を示し、勝俣会長に尋ねたが、同会長は「当時は聞いていなかった。本部長止まりだったのではないか」と答えた。

さらに野村氏がシビアアクシデント対策など安全対策とコストの考え方について尋ねたのに対し、勝俣会長は「コストダウンを検討することはあっても、(改善)対応のそのものに全否定することはない」と答えた。


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