放医研 緊急被ばく医療機器搭載 原災に備え、新鋭車両整備

放射線医学総合研究所は17日、福島原子力災害を踏まえ、緊急被ばく医療体制の強化を図るため、「支援車」「大型救急車」「検査測定車」の3台の新車両を整備し、報道関係者に公開した。

3台ともに、衛星電話システム、計測した放射線量・画像データの本部への送信および災害対策本部からの指示をリアルタイムで表示できる空間放射線モニタリングシステム「ラジプローブシステム」を搭載しており、派遣者の安全確保や本部から迅速に指示できる。

支援車は、災害現場で活動する作業者の現場指揮、事態の長期化に備えた仮眠場所等の確保及び被災者の汚染検査や除染をする。給水のない場所でも被災者の除染ができるようにシャワー設備を備えており、屋外でのスクリーニング作業時にはこの車両が中心となる。

大型救急車は、汚染の可能性がある救急患者搬送を行う。寝た状態の被災者を2名、比較的軽傷で椅子に座ることが可能な被災者を含めると最大6名まで搬送できる。安定ヨウ素剤や除染用の薬剤も搭載しているほか、通常の救急車としての使用も可能。

検査測定車は、発災初期段階の支援活動で被災者の被ばく線量評価を行う。γ線のエネルギーの分布を調べられる遮蔽体付きγ線スペクトロメータ等を設置しており、試料を分析して体内に摂取された放射能(放射性核種)を評価したり採取した細胞の染色体を調べて被ばく線量を評価したりする「バイオアッセイ」を簡易的に行える。また、放医研REMAT(緊急被ばく医療支援チーム)用の高性能小型計測機材等を搭載し、被災地において汚染状況の確認や被ばく量評価が可能。データは車載の通信システムで転送され、本部や専門家による支援方法の判断に利用できる。


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