原子力35%は「参考」 4選択肢に 総合エネ調が報告書 エネ環境会議に提出へ 今後、国民的議論へ 実現性、国民負担など課題

経済産業省の総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会(委員長=三村明夫・新日本製鉄会長)は28日、2030年を想定したエネルギーミックスの選択肢を4つに絞り込み、エネルギー・環境会議に諮る中間報告を取りまとめた(=写真)。

4つの選択肢は、原子力発電比率の違いを切り口とし、それぞれ0%、約15%、約20〜25%、および電源構成に定量的イメージを示さないケースとなっている。たたき台の段階で候補にあがっていた原子力発電比率35%の選択肢は、委員間で議論が紛糾した結果、除外され、参考として記載することとなった。

今後、エネルギー・環境会議で、原子力委員会や中央環境審議会で検討されている原子力政策や地球温暖化対策の選択肢原案ともすり合わせ、「エネルギー・環境戦略に関する選択肢」が統一的に提示され、国民的議論に付することとなる。

基本問題委員会は、11年10月のキックオフから、これまで計25回の議論を重ね、委員からの意見照会を集約し、今回、エネルギーミックスの選択肢提示に至った。定量的イメージを伴わない選択肢では、「市場メカニズムにより効率的なエネルギーミックスが実現する社会」をビジョンとしているのに対し、電源構成に具体的数値を示した他の選択肢では、最終案の段階で、原子力発電比率のあり方に関し、「意思を持って」との文言が付け加えられた。

最終的に除外となった原子力発電比率35%の案については、「原子力への依存度をできる限り低減」とする民主党政権のエネルギーミックス議論の基本的方向性(昨年8月の閣議決定)と反することから、「選択肢から外すべき」との意見も多かった一方で、「国民への情報提供のため幅広い選択肢を」との考えから、「選択肢に残すべき」とする意見もあった。

同委員会では、経済影響について、研究機関によるモデル分析を、資源エネルギー庁より示してきたが、28日の会合では、GDP、電力価格など国民負担などに関する試算結果についても報告された。


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