原産協会 世界の開発動向調査 運転中原子炉は9基減少

原産協会は30日、「世界の原子力発電開発の動向2012年版」を刊行した。世界で運転・建設・計画中の原子炉に関するデータを独自のアンケートで集計したもので、2012年1月1日現在、世界では30か国・地域で427基・3億8446.6万kWが稼働中。2011年中にアジアで4基が新たに営業運転を開始する一方、主に福島事故を原因とする閉鎖原子炉が13基あったことから、前年調査から9基、773.7万kW分の減少となった。ただし、同事故後もアジアを中心とする開発気運は衰えず、中国など5か国で新たに12基分の建設計画が加わったとしている。

調査結果によると、福島事故後もアジアは変わらず開発拡大を目指す中心地域であり、国産化設計で設備を拡大した。新規運開炉のうち中国の1基は嶺澳2期工事の2号機で、仏国の技術を改良したPWR設計。韓国では新古里1号機が昨年2月に営業運転を開始した。インドで昨年1月から営業運転が始まったのは国産加圧重水炉(PHWR)のカイガ4号機だ。このほか、中国の全面的な建設協力により、パキスタンでチャシュマ2号機が昨年5月から営業運転を開始している。

「建設中」は75基

世界で建設中の原子力発電所計画は前回調査と変わらず16か国・地域で75基だが、合計出力は7602.6万kWと前回から29.2万kWの増加となった。全体の4割を中国の計画が占めるという特徴に変化はないものの、その中国が支援したパキスタンでチャシュマ2、3号機が着工するなどの動きが見られた。このほか、中国とロシアで各1基を新たに建設中の範疇に追加。ロシアのバルチック1号機はサイトがリトアニアとポーランドに囲まれるという特殊な環境だ。中国の防城港2号機は着工の日付が2010年12月。前回調査で未確認だったものが、着工済みであったことが今回明らかになった。

94基が「計画中」

実現の可能性が高いとして新たに計画中の範疇に入ったのは、5か国の12基、1178万kW分。内訳は中国の4基、ロシアの3基、フィンランドとベラルーシが各2基、および米国の1基である。その結果、世界の合計は前回調査より3基、526.2万kW増えて94基、1億501.1万kWとなった。新規導入計画国の中でも今回はベラルーシの2基、240万kWを加えた。

フィンランドの2基はハンヒキビ1号機とオルキルオト4号機で、どちらも出力と炉型が確定していないが、いずれの計画にも日本企業が入札に参加している。計画中基数が26基と最多の中国では、遼寧省の徐大堡で昨年1月に基礎掘削前の前段階起工式を実施。米国ではテネシー峡谷開発公社が福島事故後の昨年8月にアラバマ州でベルフォンテ1号機を完成させる判断を下した。

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