徴収額の再評価を指示 米・控訴裁が廃棄物基金で裁定

米原子力エネルギー協会(NEI)は1日、原子力発電事業者が電気料金に上乗せして消費者から徴収・払い込んできた連邦政府の放射性廃棄物基金(NWF)について、ワシントンの連邦控訴裁判所が「米エネルギー省(DOE)は現在の水準で基金の徴収を続ける正当性を示すため、徴収額を再評価するよう」裁定したことを明らかにした。

NWFは1982年の放射性廃棄物政策法により、使用済み燃料の発生者が原子力による販売電力1kWh当たり1ミル(0.001ドル)を払い込むよう財務省に設置されたもの。年間の徴収額は約7億5000万ドルで、これまでの徴収総額は300億ドル以上にのぼっている。

全米公益事業規制委員協会(NUMARC)等によると、この金額はユッカマウンテンにおける使用済み燃料と高レベル放射性廃棄物の地層処分場建設計画に基づいて評価されており、同計画が中止された今となっては、新たな処分計画が策定されるまでDOEが基金の徴収を停止するよう訴えていたもの。

控訴裁は今回、徴収の停止を指示しなかった一方、徴収額の妥当性の全面的な再評価を6か月以内に実施するようDOEに命令。同省が現在の額を徴収し続ける根拠を否定する判断を下した。

NEIによると、控訴裁はDOEが地層処分計画の総経費を正確に見積り損ねた点に焦点を当てており、ユッカマウンテン計画が打ち切られた以上、DOEが同計画を念頭に置いた設定金額を変更せずに徴収することは認められないと明言。廃棄物処分で法的義務を負うDOEの受け身の対応に、裁判所が厳しく是正を促したと指摘した。


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