政府 エネ戦略3ケース 原子力0、15、20〜25% 6月中成案、8月に正式決定

政府のエネルギー・環境会議は8日、今夏を目途に決定する「革新的エネルギー・環境戦略」に向けた選択肢の設計を示す「中間的整理」を取りまとめた。民主党政権が福島事故を受けて、「原発への依存度低減」、「分散型システムへの移行」、「国民的議論の展開」という3つの方向性を示して検討しているもので、6月中にも成案を得て、国民的議論を経て決定する同戦略の方向付けとなるもの。原発依存度に関しては、総合資源エネルギー調査会の検討を尊重し、2030年の原子力発電比率で「0%程度」、「15%程度」、「20〜25%程度」の3つに絞り込んだ。

会議では、原子力委員会、総合資源エネルギー調査会、中央環境審議会がそれぞれ取りまとめた核燃料サイクル政策、エネルギーミックス、国内温暖化対策についての報告資料が提出された。

「中間的整理」では、原発依存度に関して総合資源エネルギー調査会の検討を基に、震災前の原子力発電比率を下回ることを基本として、30年の原発比率で「0%程度」、「15%程度」、「20〜25%程度」の3つに絞り込んだ。

中央環境審議会では、20、30年の国内温室効果ガスの排出削減対策について検討し、「低位」、「中位」、「高位」という3つの選択肢の原案を示している。

これら検討結果を踏まえ、エネルギー・環境会議では、戦略の軸足の置き場を巡り、(1)社会の安心・安全の確保(2)エネルギー安全保障の確保とエネルギー源の多様化(3)原子力平和利用国としての責務や世界への貢献(4)エネルギーコスト上昇による産業・経済・社会への影響(5)地球温暖化問題への対応(6)エネルギー構造の転換を成長につなげるという視点(7)必要となる社会的費用を負担する適切な制度の設計――の7つの視座を掲げた。

その中で、原発依存度の低減が、再生可能エネルギーや化石燃料への依存度を高め、エネルギーコストのさらなる上昇を招き、産業や雇用の空洞化を加速するおそれがあるとする一方、経済、産業、社会の省エネ構造への転換を促すという効果も期待できるとして、具体的道筋を示すべきとしている。

また、核燃料サイクル政策に関しては、原子力委員会が全量再処理、全量直接処分、両者の併存の3つの選択肢を、原子力比率が0%、15%、20%、35%の4つに分けて評価していることなどを踏まえ、エネルギー・環境会議では、整合性を確保しながら整理することとしている。


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