米議会・下院が修正条項可決 ユッカ計画の審査に予算

米国の議会下院は6日、今年10月から始まる2013会計年度のエネルギー・水資源歳出法の修正条項を326対81という圧倒的多数で可決した。ネバダ州ユッカマウンテンにおける使用済み燃料および高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分場建設計画の技術審査を完了させる経費として米エネルギー省(DOE)の予算枠から米原子力規制委員会(NRC)に約1000万ドルを移管する内容。オバマ大統領の民主党政権が昨年9月に終止符を打った同計画の復活を目指す試みで、修正動議は共和党のJ.シムカス議員が提案したが、評決では98名の民主党員が共和党員とともに賛成票を投ずるなど、下院内で同計画の認可審査継続を望む超党派の動きは健在だ。

ユッカマウンテン計画については、政府の方針に従いDOEが2010年3月に許認可申請の取り下げをNRCに申請する一方、NRCの原子力安全許認可会議(ASLB)は同年6月、取り下げは認められないとの裁定を下した。これに対するNRCの委員5名の見解は賛否が拮抗していたが、強硬な反対論者のリード院内総務が取り仕切る上院が2012会計年度で同計画に予算を付けなかったこともあり、認可申請に関する実質的な審査活動はすべて、2011会計年度の終了とともに停止となっていた。

今年2月にDOEが提出した13会計年度の予算要求でも、ユッカマウンテン計画関連の経費は計上されず、1月に政府の有識者(ブルーリボン)委員会がDOEに提出した廃棄物の管理処分対策に関する報告書は「集中中間貯蔵施設と深地層処分場を早急に建設する」ことを勧告。ネバダ州の反対により中止につながった同計画の反省から、地元の同意に基づいたサイト選定手法を採るよう提言していた。

下院・エネルギー商業小委員会の委員長でもあるシムカス議員は、「30年もの年月と150億ドルを費やした計画であるにも拘わらず、NRCは法に準じて審査活動を完了することを拒否している」と非難。1000万ドルの審査継続費用が認められれば、予算不足のために活動を続けられないとするNRCの弁解は通用しなくなるとしたほか、「米国民は少なくとも、ユッカマウンテンが処分場として安全か否かについて答えを知る権利がある」との見解を表明している。

米国では現在、31州の65サイトで合計104基の原子炉が稼働中。使用済み燃料をサイト内に保管し続ける事業者はDOEが放射性廃棄物政策法に則って速やかにこれを引き取り、放射性廃棄物基金の拠出金で建設した処分場に埋設することを望んでいる。このため、廃棄物の保有州では民主党議員も党議に縛られることなく、地元州の利益を重視して行動している模様。2002年に連邦議会がサイト指定の決議を可決し、大統領の署名により決定したユッカマウンテン計画について、現政権の下院議員達は改めて推進の意志を示した。


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