輸出強化分野に「原子力」 インフラ輸出部会 改めて問われるコスト競争力

経済産業省の産業構造審議会「インフラ・システム輸出部会」(部会長=浦田秀次郎・早稲田大学教授=写真)は15日、日本企業のインフラ・システム輸出に係る競争力強化策を取りまとめた。10年に打ち出した「産業構造ビジョン」を受け、主要な戦略分野について、日本企業の競争力の現状を分析し、今後のあり方を検討したもの。競争力強化策は近く、経産相より、官邸内の関係大臣会合に報告された後、部会にて引き続き、原子力、送配電、情報通信他、インフラ関連の計11戦略分野ごとの方策を検討していく。

今回、取りまとめられた強化策は、11戦略分野に横断的な課題を抽出し、検討を行っており、分野ごとの特性によって、その競争力や優位性は異なるとしているが、「技術力・品質が優れていても勝てない」ことの主な要因がコスト競争力にあることを共通認識として第一に掲げ、技術力強化、マーケティング戦略、グローバル人材育成の必要などを述べている。

プラント・エンジニアリング市場では、わが国の受注額が横ばいなのに対し、近年、台頭している中国や韓国は、5年間で約4倍以上もの成長を遂げており、ことに韓国では、国家戦略としてインフラ輸出を進め、主に中東で成果を上げてきたとしている。さらに、韓国企業が受注した案件では、UAE原子力プロジェクトなど、日本企業も参加し競合の結果、敗れているものも少なくなく、こうした韓国企業の強さは、若手人材を積極的に海外に派遣し、就業経験を積ませることで、海外ビジネスを担える人材育成を国として支援するといった「人の競争力」が大きいと分析。強化策では、今後のわが国の方向性として、付加価値を生み出すグローバル人材育成、ゼネラルコンサルタントやプロジェクト・マネージャーの人材育成などを指摘している。


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