リトアニア国会、原発建設法案を承認 日立がABWRを初輸出へリトアニアのエネルギー省は21日、同国の国会がビサギナス原子力発電所建設計画の事業権付与契約案を盛り込んだ法案を賛成多数で承認したと発表した。建設計画の事業権をプロジェクト会社に付与するとともに、同社への出資を伴う戦略的投資家として日立製作所を選定したこと、および日立GEニュークリア・エナジー社のABWR設計技術による計画推進を認める内容。同法は大統領の署名により正式決定するが、隣国ラトビアとエストニアとの出資に関する最終合意をもって、日本から初めて原子力発電プラントとしての輸出が実現する。これにより原子力の導入を計画しているアジアなど新興国への輸出案件にも弾みが付くと見られている。 同国内閣が3月に承認した事業権付与契約案では、リトアニアのほかにバルト三国のエストニアとラトビアおよび日立がプロジェクト会社の各20〜22%を保有予定。投資総額173億リタス(約5173億円)のうち100億〜140億リタスを外国企業からの直接投資分とし、2020年末〜22年までに出力135万kWのABWR完成を目指す。 エネルギー省では同法案の成立に伴い、今後周辺諸国が地域パートナーとして同計画に商業投資する機会が生まれたほか、日立がプロジェクト会社設立に向けた協議を完了し、国会の承認した条件下で合意文書に署名が認められたと指摘。 また、プロジェクト会社が事業権取得後は、設計作業を開始するために日立GE社とエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を結ぶことも可能となる。2015年までに最終投資決定が下されれば、同国でも最大投資規模のプロジェクトとなるビサギナス原発が着工する見通しだ。 現地で共同通信のインタビューに答えたエネルギー省のセクモカス大臣は、福島事故後に建設計画への反対意見が増加したものの、失業問題を抱える地元では賛成派が多数だと明言。自然災害による同事故は技術的な問題とは直接関係がなく、日本の技術への信頼は揺らがなかったと強調したと伝えられている。 |
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