地層処分研究文書をパブコメ スイス

スイス連邦エネルギー局(SFOE)は13日、同国の放射性廃棄物管理協同組合(NAGRA)が2008年10月に提案していた地層処分場・特別計画、処分場候補サイトの概要、安全委など関連機関による意見書および勧告など8つの廃棄物管理関係文書を3か月間のパブリックコメントに付した。9月28日まで国民の意見を広く聴取し、処分場計画を次の段階に進める方針だ。

スイスでは2005年の改正原子力法に従い、英仏に委託再処理した使用済み燃料のガラス固化体、再処理しなかった使用済み燃料もすべて高レベル廃棄物として扱い、国内の深地層に監視付きで長期間処分する予定。返還済みのガラス固化体の多くは現在、北部ビュレンリンゲンの中間貯蔵施設で貯蔵している。

廃棄物の処分計画は国内の原子力発電事業者と連邦政府が設立したNAGRAが推進しており、その特別計画は地層処分の実施手続き案を示した文書。放射性廃棄物の種類や性質、量、処分場の規模や設計、廃棄物ごとの割当、研究開発・実施プランおよびコストなどが検討されている。

SFOEは現在、NAGRAが同計画と同時に提案していた6か所の低・中レベル廃棄物地層処分用候補サイト(うち3か所は高レベル用でも候補)について、3段階で構成される選定手続きを実施中。第1段階として、チューリッヒ北東部や北部レゲレン、ジュラ東部などで評価作業を行った結果、連邦参事会(内閣)は昨年11月末、これら6か所を候補地として承認した。これに伴い、第1段階における調査概要は公開され、6か所の候補地が深地層処分の部門計画に組み込まれた。

第2段階では、低・中レベル用と高レベル用の候補地を各2か所に絞る計画で、これには4年ほどかかる見通し。パブコメの結果についても2013年に連邦参事会にかけて承認を得た後、議会に報告書を提出することになっている。

今回、SFOEと連邦原子力安全検査局(ENSI)は「NAGRAの管理計画は法的要件をすべて満たしている」と結論付けたほか、2016年の次回改定時に廃止措置コストや深地層からの廃棄物回収コストなど、新たな調査結果も含めるよう勧告。あらゆる未解決の課題についても時宜を得た適切な解決方法が示されているとの評価を下している。


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