次世代の理解活動注力 WiN‐Japan 布目新会長

設立12年を迎える原子力・放射線利用の仕事に携わる女性のネットワーク「WiN(Women in Nuclear)‐Japan」の年次大会が4月27日に行われた。このほど新会長に就任した布目(ぬのめ)礼子・原子力発電環境整備機構企画部国際グループマネージャーに話を聞いた。

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――WiN‐Japanについて教えてください。

WiN‐Japanは2000年に設立され、電力会社、プラントメーカー、燃料メーカー、大学職員および大学生などで構成されています。女性の言葉で語り、原子力について身近に感じていただくことを目的としており、特に立地地域の女性たちにさらなる理解を深めていただけるよう、現地に赴いてイベントなどを開催しています。

――これまでどんな活動を行ってきましたか。

2010年には九州の川内原子力発電所のある薩摩川内市で女性交流会を開催しました。開催にあたっては、まずWiN‐Japanでプロジェクトチームを作り、地域性も鑑みて講演や実験などイベント内容を決めていきます。こうしたイベントではテーブルトークが中心となることが多く、フェイス・トゥ・フェイスでのやりとりの中で直接語りかけることができます。WiNの活動に参加した女性からは、自分の思っていることを素直に言える場所だという声が聞かれます。動機は何でもよいので、こうした活動に多くの方が参加して原子力について考えるきっかけになってほしいと思っています。

次世代に向けての取り組みにも力を入れており、経産省などが主催する子ども向けのエネルギー学校や、複数団体が主催する女子中・高生を対象とした夏の学校などに協力し、科学技術全体の底上げをめざしています。

女子大生対象の交流会も行っており、生まれた時から電気があるのが当然という世代であるため、電気の必要性についてはよく理解している印象を受けています。

――「WiN‐Global」年次大会に出席されたとのことですが。

5月末に毎年開催されるWiNの世界大会「WiN‐Global」でスウェーデンを訪問しました。今年は約20か国から170名ほどが参加していました。大会では世界各国のトピックスが紹介されますが、日本は昨年に引き続き福島の状況について、福島第一原子力発電所の現状など明らかになっていることを整理して伝えました。他の国からは次世代への理解活動の取り組みが報告され、クイズ大会などのイベント形式にして楽しみながら原子力の知識を増やしていく事例などが挙げられていました。大会ではスウェーデン国内やフィンランドの処分場を巡るテクニカルツアーも開催されました。

「WiN‐Global」加盟国には、原子力発電を行っていない国も多く、医療面などの放射線利用への関心も高くなっています。理解促進は世界の共通認識として活動しています。

――WiN‐Japanの今後の活動は。

WiNのメンバーは通常は原子力関係の業務に携わっていますが、WiNの活動を通して組織の枠を超えた人のつながりができて幅広い情報や視点が得られ、自身の仕事にも活かしていくことができます。

WiN会員自身の資質を高めることにも注力しており、テクニカルツアーなどを通して原子力に限らずエネルギー全体を広く見渡せるように色々な知識を得ていきたいと考えています。

今後はWiNの活動をもっと外部にもアピールしていけたらと思います。

――最後にメッセージを。

福島の事故後、原子力の是非が問われていますが、日本はエネルギー資源の乏しい国です。それを補う原子力の技術を手放してよいものでしょうか。海外でもこれから原子力発電所の新設が相次ぐ状況にあり、福島の経験を活かして日本の技術力で貢献することこそが重要だと思います。


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