エネ環境で3選択肢 正式決定し、国民的議論へ エネ環境会議 国民からの意見募集も開始

政府のエネルギー・環境会議は6月29日、「エネルギー・環境に関する選択肢」を決定した。「原発依存度を下げ、化石燃料依存度を下げ、COを削減できる」という前提に立ち、2030年の原発依存度を基準に、「ゼロシナリオ」、「15%シナリオ」、「20〜25%シナリオ」の3つのシナリオを用意、国民的議論を展開した上で、8月にも取りまとめる「革新的エネルギー戦略」の策定につなげる。

エネルギー・環境選択肢では冒頭、「エネルギーなくして快適な生活を営むことはできない。産業活動も維持できない」との従前からの認識とともに、大震災以降の国民負担増、原発事故が他国のエネルギー政策に影響を及ぼしている現状で、「世界のエネルギー選択に影響を与える国際的な問題でもある」として、その意味を訴えている。

エネルギー・環境会議による11年末の基本方針提示を受け、総合資源エネルギー調査会におけるエネルギー・ミックスに関する審議を中心に、原子力委員会では核燃料サイクル政策、中央環境審議会では温暖化対策について、それぞれ議論され、6月8日に選択肢に関する中間的整理、同29日に選択肢決定となった。今回の選択肢で用意する2030年時点での3つの選択肢は、総合資源エネルギー調査会で示された3段階の原発比率にならっている。

「ゼロシナリオ」は、30年までのなるべく早期に原発比率をゼロとし、最終的には、再生可能エネルギーと化石燃料からなるエネルギー構成を目指す。また、使用済み核燃料は直接処分する政策を採用する。「15%シナリオ」は、原発依存度を着実に下げ、30年に15%程度としつつ、再生可能エネルギー、化石燃料を組み合わせて活用する。「20〜25%シナリオ」は、緩やかに原発依存度を低減しながら一定程度維持、原子力発電の新増設等を行い、30年に20〜25%程度とする。

「15%シナリオ」と「20〜25%シナリオ」では、核燃料サイクル政策について、「再処理・直接処分がありうる」との概括的な表現にとどめ、今後の議論を踏まえ検討していくこととしている。

また、いずれの選択肢でも、温室効果ガスの削減量は、30年に1990年比23〜25%減となるが、追加対策を講じても化石燃料依存度が約65%と現状程度にとどまる「ゼロシナリオ」では、化石燃料輸入額が約16兆円(10年実績17兆円)に上るとしている。

エネルギー・環境会議では今後、3つのシナリオをもとに、情報提供データベースの整備、意見聴取会開催、パブリックコメント募集、討論型世論調査を通じて、国民的議論を展開し、政策を具体化していく。


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