進まぬ地層処分など憂慮 文科省経産省 改善促す評価結果に

経済産業省はこのほど、「事業仕分け」の府省版といえる「行政事業レビュー」の公開審議を実施し、11年度の計11事業(レビューシートの件数)について、有識者により事業の内容や効果の点検が行われた。本紙関連では、地層処分技術調査等委託費が取り上げられ、「抜本的改善」との評価結果となった。

地層処分技術調査等委託費は、原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物等の地層処分技術の信頼性と安全性の向上を目指し、深地層の地質や地下水などの調査を実施し、処分地選定に必要な技術開発を行うもので、11年度当初予算で、32.9億円が計上されている。

評価者からは、処分地選定が進まぬ状況を憂慮し、「目標設定の明確化等を図るべき」、「事業の効率化を図るべき」といったコメントがあり、評決と合わせて、今後の事業計画・ベンチマークの明確化、事業成果のチェック・情報開示を求める留意事項も示された。

文部科学省でも同レビューの公開審議を行い、本紙関連では、原子力教育支援事業委託費について、事業内容や効果の点検が行われ、「一部改善」との評価結果となった。

原子力教育支援事業委託費は、教職員セミナー、出前授業、学習用機器の貸し出し、副読本の作成・提供などを通じ、各地域の学校教育などにおける取組を支援し、原子力教育の充実を図る施策で、11年度は、福島事故の影響を踏まえ、放射線の理解に重点化し、予算額は約5.2億円となっている。

公開審議では、担当部局として、研究開発局が実施事業の概要を説明、小・中・高校別に教職員を対象としたセミナーの開催では、事後のアンケート結果で、高い評価が得られていることなどを紹介した。

これを受け、レビューチームの責任者である神本美恵子大臣政務官は、実際、「どの教科で扱うべきか」という戸惑いの声、被災地との温度差もあるなどとした上で、放射線影響を巡る偏見、差別、過剰反応等にも言及しながら、理科だけでなく、他教科にも係ることも指摘し、初等中等教育局も含めて、全体で考えていく必要を訴えた。

さらに、同政務官は、「一部改善」の評決と合わせ、原子力災害をきっかけに、「国民が放射線に対する知識を正しく学ぶ教育の必要が認識された」とし、これまでの推進のための原子力教育だけでなく、事故が起きた際の「身を守る」、「環境を守る」ことも含めた総合的な放射線教育の必要をコメントした。

文科省では17日まで、評価結果に関する意見募集を実施している。

各府省からのレビュー結果は、7月上旬までに取りまとめられ、行政刷新会議に諮り、13年度予算概算要求への反映に資することとなる。


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