3メーカーが入札提案 チェコのテメリン3、4計画

テメリン原子力発電所3、4号機の完成計画を進めているチェコ電力(CEZ)は2日、これまでの審査で有資格と認めた原子炉メーカー3社から入札提案書を受領したと発表した。2013年後半にも業者を選定し、契約書に調印する方針だ。

建設作業が一時期中断していた同計画では、09年8月にCEZ社が改めて公開入札の手続きを開始。10年春までに第1段階の適性条件をクリアした(1)ウェスチングハウス(WH)社の企業連合(2)仏アレバ社(3)ロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社とギドロプレス社およびチェコ・スコダ社の企業連合に対し、昨年11月に詳細な入札招請書を手渡していた。

その中でCEZ社が示した要件は、第3世代か同プラスで出力100万kW以上のPWR2基をターン・キー契約で、9年分の運転に必要な燃料棒とともに納入するというもの。原子炉設計はチェコ国内の原子力規制のみならず、国際原子力機関(IAEA)や西欧原子力規制者協会(WENRA)の定める安全要件を満たしている必要がある。また、メーカーの本国あるいは、EU加盟国で認可を受けた設計でなければならないとしている。

露はMIR1200

スコダ社が参加するロシア・チームは、ロシアのAES―2006設計をベースとする「近代化国際原子炉(MIR)1200」を提案中だが、提案書は商業面、技術面および核燃料関係の3パーツから成る。技術的な詳細文書だけで24巻にのぼり、計画の実施手順などを含めた提案書の全体は8万ページ、総重量は1トンに達したとしている。

チームの参加企業以外では、核燃料の生産企業であるツベル社やタービン系の設計等でNIAEP社やアトムテクエネルゴ社が協力。首尾良く受注にこぎ着ければ、チェコ国内からも350社の企業が招かれるとスコダ社は明言した。

アレバ社のEPR

欧州加圧水型炉(EPR)を提案するアレバ社は、同設計がフィンランドや仏国など欧州で唯一、認可を受けて建設中の第3世代プラス炉であるとしたほか、福島事故後の安全審査でも高いレベルの安全性が確認されていると指摘。中国でも同設計の原子炉建設でエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を受注した実績があり、日程通りに予算枠内でプロジェクトを遂行できる競争力があると強調した。また、過去20年間におよぶチェコ企業との連携経験から、受注が決まればテメリン計画で必要となる資機材購入契約の70%は地元供給業者に解放すると約束している。

WH社はAP1000

WH社は親会社である東芝のほか、チェコの大手建設企業であるメトロスタブ社および安全系の計装制御系専門会社のI&Cエネルゴ社とチームを組んで、確証済みの設計技術や建設スキルを統合。契約獲得の暁にはAP1000に関する最先端のエンジニアリング・建設および製造の専門技術がチェコ企業に移転されると明言。米国で30年ぶりに進められている新設計画との関係で、昨年12月に米原子力規制委員会(NRC)から修正設計の設計認証(DC)を取得したほか、英国の新設計画においては原子力規制機関(ONR)から包括的設計審査(GDA)の暫定設計容認確認書(IDAC)を発給された点を強調している。


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