国民意見聴取始まる エネ環境の選択肢を議論 国家戦略室主催 パブコメも8月12日まで延長

2030年のエネルギー選択に向け全国11都市で開催される意見聴取会が14日、さいたま市を皮切りにスタートした。発電量に占める原発依存度を基準とし、政府のエネルギー・環境会議がこのほど取りまとめた3つの選択肢(1)ゼロシナリオ(2)15シナリオ(3)20〜25シナリオ――を軸に、エネルギー・環境戦略の方向性を定める礎とすべく、国民的議論を展開するもの。

さいたま市会場の新都心合同庁舎(=写真)には、抽選で選ばれた約170人が参加、政府関係者より3つの選択肢に関する説明が行われた後、事前に選ばれた各選択肢に賛同する意見表明者3名ずつ計9名が2巡で発言する形で進められた。

政府側は、今回のエネルギー選択に関する議論に関して、震災を機に、「原子力を基幹電源とするエネルギー選択」から、「原発依存度を可能な限り減らす」という方向性が共有されつつあるところ、「どの程度の時間をかけて減らしていくのか」、「どこまで減らすべきか」、「どのエネルギーで補っていくべきか」などを意見の分かれる論点として示し、3つのシナリオの要点を説明した。

意見表明では、福島事故の経験から、「人類は核を制御できない」ことが示されたとしたほか、使用済み燃料処理の停滞なども懸念した上で、ゼロシナリオを訴える青森県出身者の意見があった。

一方で、これまでに培われた日本の技術力に期待し、「原発50%のシナリオがあってもよい」としたほか、再生可能エネルギーに依存するのならば、停電頻発の覚悟も必要なことも述べながら、原子力がこれまで、高品質な電力の安定供給に貢献してきたことを強調する元技術者の声もあった。

意見聴取会に出席した枝野幸男経産相は、各意見表明者の発言終了後、参加者一同に対し、エネルギー・環境に関する選択についてそれぞれ考えて欲しいなどと述べた。また、今回は、事前に選ばれた陳述人以外には発言の機会が与えられておらず、場内から運営方法に関する不満の声が上がったのに対し、枝野大臣は、「真摯に受け止める」などと応えた。

意見聴取会は、15日に仙台市、16日に名古屋市でも開かれ、今後、8月上旬まで、主要都市で順次、開催される。

また、国民的議論を集約する特設ウェブサイト「話そう“エネルギーと環境のみらい”」では、意見募集を8月12日まで延長して実施中だ。


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