事故後の初動検証要求 野村氏、原子力委に国会事故調報告

原子力委員会の17日定例会議で、東京電力福島事故調査委員会(国会事故調)の報告書について、同委員だった野村修也氏(中央大学法科大学院教授)=写真左端=が報告書の概要を報告した。

質疑応答の中で近藤駿介委員長は、「原子力委員会の責任論もあるが、長期計画、大綱などでは安全の確保を重要視してきた。ただ、原子力委の権能の中では、お経になってしまう」と述べた。また、事故調の報告書で指摘する“規制の虜(とりこ)”問題については、「情報の非対称性についてでもあり、当然、人間社会が行うことであり、効率性と完全性との関係だ。エビデンス(根拠)の強さでバランスが決まる。米国でもB5b(テロ対策における全電源喪失対策)は日本のサリン散布事件で対応を考えた。9.11には間に合わなかったが」とした。

さらに近藤委員長は津波対策についても、「昔は福島に津波がくるという論文はなかった。本格的な検討はスマトラ沖地震からだ。社会が投資をできなかった」と述べた。

野村氏は「言ってみれば想定力が足りなかった。サリンを原子力に結び付けられなかった。考えた人は少なくなかったが。B5bも出張者や独自調査は行っていた。経営レベルにはブロックされていた」と述べた。

また野村氏は、「原子力委員会は、事故直後、個人的対応を行うことにしたが、各個人ではなく、なぜ委員会として検討しなかったのか。していれば、外務省も対応したのではないか」と個人的な疑問を呈した。


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