[原子力ワンポイント]日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編(19)〉 セシウムは以前から世界中に降っていた大気圏内核実験により日本にもセシウムとストロンチウムが降り注ぎました。そして、セシウムとストロンチウムがわずかですが入った白米を食べていましたので、ゼロベクレルを求めることは理解できますが、難しいと思います。 ゲンくん セシウムって今回の事故で初めて日本で出るようになったの。 テツにぃ いいえ、1945〜1963年に行われた大気圏内における核実験の時から日本に降り注いでいました。最近、話題になることが無かったので、皆が忘れていたと思いますが、気象研究所ではセシウムとストロンチウムが日本に降り注いでいる状況を測定していて、結果を公表(図1)しています。大気圏内核実験が行われなくなってからも降り注いでいますから、おそらく地球上を循環しているものが満遍なく沖縄から北海道のあらゆる地域にも降り注いでいると思われます。 ゲンくん それなら、実は日本だけでなく世界中にセシウムとストロンチウムはあったということなの。 テツにぃ 大気圏内核実験が行われてからはそうなります。農業技術環境研究所の駒村美佐子氏らは、1959年から行っていた白米に含まれていたセシウムとストロンチウムの量を報告(図2)していますが、1963年には最大で約10ベクレル(Bq)/kg記録した白米もあったそうです。この年の全国平均は約4Bq/kgなので、多くの日本人が多少はセシウムとストロンチウムが入った白米を食べていたことになりますし、現在も食べています。また、25年経ったチェルノブイリ事故の86年にはセシウムとストロンチウムの降下量が増えました。通常、体重60kgの大人だと60Bqのセシウム137が体の中にあると言われます。 ゲンくん 福島事故前でもゼロベクレルを求めることは、本当はできなかったんだね。 テツにぃ ゼロベクレルを求める気持ちは良くわかりますが、残念ながら、ほとんど実現不可能な願望でしかありません。理解できないことに初めて直面すると、心配して危険を避ける行動はとても大事ですが、状況は常に変化しています。ある程度時間が経ったときに、当初危険と判断したことも本当に危険なのかどうか見直す勇気も大事だと思います。(原産協会・政策推進部) |
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