原子炉の代替構想申請 スウェーデンのバッテンフォール社

スウェーデンでリングハルス原子力発電所(80万kW級BWR1基、90万〜100万kW級PWR3基)を所有するバッテンフォール社は7月31日、既存原子炉を代替する原子炉の建設可能性について情報分析する申請書を放射線安全庁(SSM)に提出した。

同国では約30年間に及んだ脱原子力政策後の2011年1月、既存原子炉10基に限り、建て替えを許可する法案が発効したものの、その後の福島事故により原子炉の新設は微妙な状況。SSMでは新設炉用の規制要件を策定し終えるのは早くても2014年後半になるとしており、同社は既存炉が寿命を迎える2025年以降を見据え、長期的観点に立って慎重に言葉を選びながら、発電設備を代替する必要性を訴えている。

バッテンフォール社はまず、今回の申請を「2020年代後半頃から寿命となる既存炉をいかに代替していくか評価するワンステップだ」と形容。代替炉への投資に関して今後の方向性を決める情報収集の一部であり、現段階では意思決定に至っていないこと、今後数年間にそうする予定もない点を強調した。

また、代替電源として様々な選択肢を評価している最中だとも明言。安全性が改善され、出力増強が図られているとはいえ、既存炉は遅かれ早かれ寿命を迎えねばならないとし、新たなベースロード電源に代替する必要性を指摘した。エネルギー部門の主要事業者として、同社には低炭素な電力を安全かつ安定的に供給する長期的責任があり、電源の種類にとらわれず、安全性や環境上の要件を満たしつつ実益のある投資をしなければならないと説明している。

同社はその上で議会が原子炉の代替を許可したことに触れ、「これは法的に可能性のある選択肢の1つ」と強調。欧州委員会(EC)のエネルギー・ロードマップでも、原子力が2050年のエネルギー構成要素として、すべてのシナリオに含まれている点に注意を促す一方、同社としては原子炉建設計画に影響を受けるすべての関係者と緊密に対話し、手続きについてオープンに伝えていくとの方針を示した。

SSMによると、バッテンフォール社の申請書は1〜2基の既存炉を1基(かそれ以上)の新規原子炉で代替するための投資可能性について前提条件の分析を行う内容。申請書の受理から未来の原子炉が起動するまでには、政府や土地裁判所、環境裁判所などの承認を得るために10〜15年が必要であることから、SSMも新設炉に課す規制要件の策定プロジェクトに取りかかった。


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