原子力学会が福島事故調査開始 学会の役割、専門家としての責任にもメス 委員長に田中知教授 13年末までに報告書

日本原子力学会は、同学会の総力を挙げて福島事故の調査を行うため、「東京電力福島第一原子力発電所事故に関する調査委員会」(学会事故調、委員長=田中知・東京大学教授)を立ち上げ、21日に東京都内で初会合(=写真)を行った。

同学会では福島事故後、調査専門委員会で調査検討を行ってきたが、改めて新たな委員会を立ち上げ、13年末を目途に調査結果を取りまとめることにしている。

学会事故調では、原子力事故の実態とそれに伴う原子力災害について、分析・把握し、事故の背景と根本原因を明らかにして、原子力災害につながる事故を二度と起さないことをめざす。原子力の専門家で構成される学術組織の責務を強く感じ、原子力安全の継続的な改善と、事故を防げなかった要因を明らかにする。自らの学会としての組織的・社会的な問題点にも切り込む。

委員は同学会の各委員会・部会代表などから選出した大学や原子力機構、電気事業連合会、日本原燃などからの39名、会議は非公開で行われる。

田中委員長は「学会では、事故当初から各部会などで調査を行ってきており、各部会の活動をベースに、学会の総力を挙げて取り組みたい。さらなる調査や、廃炉へのロードマップなどの中で明らかになることもあるだろう。会員に開かれているのが学会だが、社会にも開かれたものでなくてはならず、学会・年会などでも報告していきたい」と挨拶した。


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