[原子力ワンポイント] 日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編(20)〉 新基準値は危険値でなく「管理基準値」新しい食品基準は、危険値ではなく、管理基準値と考えるべきで、この値を超えたら、念のために管理(出荷停止等の対応)しますよ、と言う消費者の安心をより高める改定と考えられます。 ゲンくん 4月1日から新しい食品基準が使われることになったね。 テツにぃ 暫定規制値より厳しくなった放射性セシウム新基準値が適用されるようになったので、以前は輸入が認められていた150〜200ベクレル(Bq)/kgのセシウムを含むブルーベリーが廃棄されました。 ゲンくん そうなんだ。僕も被ばくしないように注意していることがあるよ。 テツにぃ 何をしているの。 ゲンくん ほうれん草を食べないようにしていることさ。 テツにぃ 注意しているのではなくて、食べるようにお母さんから注意されているのではないですか。冗談はさておき、放射性セシウムが注目される前から、カリウム(K)40はいろいろな食品に含まれていたことを忘れてはいけません。代表的なものが旧科学技術庁パンフレットに示されていますが、含有量が多いもので、干し昆布の2000Bq/sがあります。ゲンくんの好きなポテトチップスにも400Bq/sのK40があります。 ゲンくん え〜、ポテトチップスを食べたら被ばくしちゃうの。だけど、ポテトチップスを食べてガンになったなんて聞いたことないよ。 テツにぃ そうだね、聞いたことないね。確かに、ポテトチップスでも内部被ばくしますが、体の中にできるのは活性酸素で、その活性酸素はSOD(スーパー・オキサイド・ディスタムターゼ)酵素で除去されるので、心配する必要はありません。 ゲンくん K40が良くて、放射性セシウムが規制されるのはどうしてなの。 テツにぃ 理由は良くわかりません。自然にあるK40が良くて、放射性セシウムは体に悪いという区別は科学的にはなく、どちらも原子が崩壊して放射線を出すので、人体に影響はあります。但し、放射性セシウムはK40の約2倍強く影響しますが。ですから、単純に考えると、K40では放射性セシウムの数値を2倍に緩めた規制値を考えるべきでしょう。しかし、干し昆布、干ししいたけ、ポテトチップス、生わかめ、ほうれん草などは200Bq/sを超えるK40が含まれていて、今まで食べていたものが食べられなくなってしまうので、この規制が現実的とは思えません。また、人体に必要なカリウムを効率よく摂取することを妨げることにもなると思います。 ゲンくん それでは、新基準値はどう考えればいいの。 テツにぃ 新基準値は危険値ではなく管理基準値と考えるべきで、「この値を超えたら念のために管理(出荷停止等の対応)しますよ」という管理を始める値を下げた、消費者の安心をより高める改定と考えてよいと思います。安全ということでは、暫定規制値も新基準値も同じです。(原産協会・政策推進部) |
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