国民意見を総括、決断へ 有識者検証会合でまとめ 近くエネ環境会議開催

エネルギー・環境問題に関する国民的議論について、政府の有識者検証会合が28日に開かれ(=写真)、今後の戦略策定に向けた結果総括を取りまとめた。これまでに実施した意見聴取会、パブリックコメント、討論型世論調査などを踏まえた各シナリオ支持率の集計の解釈や論点を整理したもので、関連データと合わせて、近く開くエネルギー・環境会議に報告される運び。

エネルギー・環境会議は6月末に、原子力比率に応じた「ゼロシナリオ」、「15シナリオ」、「20〜25シナリオ」の3つの選択肢を用意し、国民的議論を開始した。検証会合では、政府主催の意見聴取会、パブリックコメント、討論型世論調査の結果に加え、マスメディアによる世論調査や関連団体からの提言なども総括し、有識者による意見を求めた上で、戦略策定に資するため、「国民の意見の縮図といえるのか」といった評価軸で、各調査の特徴を整理した(=2面に集計表)。

28日の会合で取りまとめられた総括では冒頭、今回の国民的議論について、定性的、定量的にも、「すべての要素を満たす調査はない」とし、また、事前の認知期間などから、「改善の余地はある」と指摘した上で、大きな方向性は、支持率で把握するが、特定の数字を過度に重視あるいは無視して政策を決定すべきではないとしている。

各シナリオの支持率集計に関して、まず、「ゼロシナリオ」については、各種世論調査とも3〜5割を占め、2030年までに原発ゼロを支持する国民は、直ちにゼロといった意見も含めて少なくとも半数近くいるとしている。「15シナリオ」については、最も支持を集めるケースか、ゼロに次いで支持を集めるケースに分かれており、30年以降、将来的に原発ゼロを目指す意見とともに、ある程度利用し続けるという意見も含まれているとみている。「20〜25シナリオ」の支持者については、各種世論調査とも、1〜2割程度となっており、経済団体が多いとしている。

また、これらを踏まえた論点に関しては、意見の違いの背景として、原子力安全や高レベル廃棄物についての不安、代替エネルギーとなる再生可能エネや省エネの経済性や可能性、コスト負担の許容度などがあると分析しているほか、各種調査で、「わからない、その他」という意見もあったことから、国民にとって難しい問題であり、エネルギーミックスの数字よりも、社会像の構築に対する関心が強く、戦略選択によって生じる懸念についても、現実的に解決策を提示する必要があるともみている。


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