構造物や機器類は健全 IAEAミッション 耐震安全の調査報告提出

国際原子力機関(IAEA)の耐震安全に関する専門家ミッションがこのほど、東日本大震災による東北電力女川原子力発電所への影響に関する2週間の調査日程を終え、「地震動の大きさ、地震の持続時間や規模からみても、原子力発電所の構成要素は目立った損傷を受けなかった」などとする調査報告をまとめ、原子力安全・保安院に提出した。

東北地方太平洋沖地震は、国内で発生した最大規模の大地震で、女川発電所1〜3号機の原子炉建屋の各階では、基準地震動Ssに対する最大応答加速度を一部上回る揺れを記録したが、各号機とも自動停止後、冷温停止状態で安定が図られている。今回のIAEA調査団は、7月29日〜8月11日に来日し、大きな地震力にもかかわらず、被害の少なかった同所における地震等の影響に関するデータを収集して、加盟各国と共有することにより、国際的な原子力安全対策への活用に資するのが目的だ。

一行は、現地での視察や意見交換を通じて情報収集を行い、調査終了後の10日、都内で記者会見に臨んだ調査団長のS.サマダー氏(IAEA耐震安全センター長)らは、「短期間の調査で、データを検証しないと詳細な評価はできない」としながらも、「構造物、機器類の健全性は驚くほどだった」などと所感を述べた。また、報告書提出に際し、日本政府側への提言として、加盟国の耐震性向上に資するさらなる情報を収集すべく、国内の他の原子力発電所における調査の必要を指摘している。


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