試運転で出力100%に到達 イランのブシェール原発(ロシア製)

イランでブシェール原子力発電所の建設工事を請け負っていたロシアの原子力総合企業ロスアトム社は8月31日、試運転中の1号機(=写真)(ロシア型PWR、100万kW)が30日付けで定格出力に達したと発表した。将来の安全運転を保証するため段階ごとに機器試験を実施中だとしているが、営業運転の開始時期には触れていない。

商業規模の原子炉としては中東唯一となる同炉は、ナタンズにあるウラン濃縮パイロット工場および商業規模の濃縮施設とともに国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にある。昨年5月に初臨界達成後、9月に出力6.5万kWで国内への送電を開始していた。

元々、独シーメンス社が1974年に建設を開始した原子炉だが、79年のイラン革命により同社は撤退。95年にロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)社が完成工事を受注した。同社によると「1万2000トンのドイツ製機器や土木構造物をロシア製機器と統合するには、適用性や状態の評価で膨大な作業を要した」。建築士は特に、ロシア技術の適合に数多くのスマート・エンジニアリング等を活用。ロシア製の原子炉設備を設置するためドイツ製建屋の設計を変更したほか、ドイツ製タービン建屋に合わせてロシア製タービン機器も設計変更を余儀なくされたとしている。

なお、イランでは同炉に続き、ダールホベインで出力約40万kWのPWR建設が計画されているほか、政府関係者は折に触れ「100万kW級商業炉が少なくとも10基必要だ」と公言。09年にコム市近郊の濃縮工場の存在をIAEAに通達した事実などから、同国における原子力施設の規模拡大に伴い、核兵器への転用機会が増大することに懸念の声が高まっている。


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