多重防護の考え整理 安全委 シビアアクシデント対策

原子力安全委員会は10日、「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策──多重防護の考え方について」を取りまとめた。安全委では昨年10月にシビアアクシデント対策についての文書をまとめており、その後、専門家との意見交換などを行った結果を受け、多重防護概念の適用を基軸として、今後のシビアアクシデント(過酷事故)対策を中心とする安全確保の基本的考え方について記述した。

多重防護の考え方は、【第1の防護レベル(第1層)】通常運転からの逸脱防止、【第2の防護レベル(第2層)】第1層の防護策の機能喪失によって、想定される初期事象のうち比較的高頻度の事象である「予期される運転時の事象」が事故状態に進展するのを防止するため、通常運転状態からの逸脱を検出して制御、【第3の防護レベル(第3層)】炉心の損傷、サイト外への重大な放出を防止し、プラントを安定な状態に復帰、【第4の防護レベル(第4層)】格納機能を確保し、放射性物質の放出を合理的に達成可能な限り低くする、【第5の防護レベル(第5層)】放射性物質の放出による放射線影響を、防災対策によって緩和──の5層に分けて対策を取ることを求めている。

今回は特に第4層において、確率論的安全評価(PSA)手法を中心とする方法によって、リスク要因の所在を追求し、効果的なリスク低減策を取ることなどに焦点を当てている。第4層の防護策に対する規制要求は、性能水準要求とすべきであり、そのためには「性能目標の設定が必要」としている。


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