【原子力ワンポイント】日本の放射線・放射能基準 −−福島第一原発事故〈番外編21〉 様々な年齢考慮 新基準100Bq/kg新しい食品基準は、特別な配慮が必要と考えられる「飲料水」、「乳児用食品」、「牛乳」と、それ以外の食品の「一般食品」の4区分とし、一般食品はどの年齢の方にとっても考慮された基準値としています。 ゲンくん 新基準値はセシウムに対して管理基準が厳しくなったけど、どうしてなの。 テツにぃ 暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はないと健康診断などの結果から理解され、また、その安全は確保されていますが、厚労省はさらなる安心を確保する観点から、暫定規制値で許容している年間線量5ミリシーベルト(mSv)から年間1mSvに基づく基準値に4月より引き下げました。 ゲンくん 年間1mSvとしたのはどうして。 テツにぃ 食品の国際規格を作成しているコーデックス委員会の現在の指標では、年間1mSvを超えないように設定されていることと、モニタリング検査の結果で、多くの食品からのセシウムの検出濃度が、時間の経過とともに長い間低下傾向にあることから、年間1mSvとしたそうです。それから、暫定規制値では、「飲料水」、「牛乳・乳製品」、「野菜類」、「穀類」、「肉・卵・魚・その他」と区分していたのを、特別な配慮が必要と考えられる「飲料水」、「乳児用食品」、「牛乳」を独立区分とし、それ以外の食品を「一般食品」にまとめて、全体で4区分としています。飲料水については、全ての人が必ず飲み、代わるものもなく、飲む量が多いことから、世界保健機関(WHO)が示している基準に沿って、基準値を10ベクレル(Bq)/sとしています。 ゲンくん まとめた一般食品はどう考えたの。 テツにぃ 一般食品については、年間1mSvを守れるように、「飲料水」の線量(約0.1mSv/年)を差し引いた残りの約0.9mSv/年を年齢区分別の年間摂取量と体格や代謝を考慮した係数を使って限度値を算出しています。この際、流通する食品の50%が汚染されていると仮定し算出しましたが、流通の現状を考えると厳しすぎる仮定で、その影響が生産者に現れる(出荷停止により生産活動ができなくなる)との意見もあります。そして、すべての年齢区分における限度値のうち、最も厳しい(小さい)値=120Bq/sから全年齢の基準値を決定することでどの年齢の方にとっても考慮された基準値を下回る数値=100Bq/sに設定しました。乳児用食品と牛乳については、放射線への感受性が高い可能性があるとされる子供への配慮から、独立の区分とし、「一般食品」の半分の50Bq/sとしています。 ゲンくん 調理された食品はどう考えているの。 テツにぃ 製造食品、加工食品については、原材料だけでなく、製造、加工された状態でも一般食品の基準値を満たすことを原則としています。ただし、水戻しを行い食べる食品や抽出して飲んだり使用したりする食品は、実際に食べる状態での安全を確保するため、実際に食べる状態を考慮して基準値を適用することとしています。 ゲンくん もう少し具体的に教えて。 テツにぃ 乾燥きのこ類、乾燥海藻類、乾燥魚介類、乾燥野菜など原材料を乾燥させた後、水戻しを行い食べる食品は、食べるときの実態を踏まえ、原材料の状態と食べる状態(水戻しを行った状態)で一般食品の基準値を適用します。ただし、のり、煮干し、するめ、干しブドウなど原材料を乾燥させ、そのまま食べる食品は、原材料の状態、製造、加工された状態(乾燥した状態)それぞれで一般食品の基準値を適用します。 ゲンくん 抽出して飲んだりする食品についてはどうなの。 テツにぃ お茶、こめ油など原料から抽出して飲んだり使用したりする食品は、原材料の状態と飲用、使用する状態で食品の形態が大きく異なることから、原材料の状態では基準値の適用対象にはなりません。お茶は、製造、加工後、飲む状態で飲料水の基準値を、米ぬかや菜種などを原料とする油は油で一般食品の基準値を適用します。 ゲンくん 経過措置についても教えて。 テツにぃ 市場や消費者の混乱を避ける目的で、米と牛肉は半年間、大豆は9か月間遅れて新基準値が適用されることが今回の経過措置になります。 (原産協会・政策推進部) |
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