GLE社の分子レーザー濃縮工場計画 米規制委が建設・運転許可

GE日立ニュークリア社傘下のグローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)社は9月25日、米ノースカロライナ州ウィルミントンで計画しているサイレックス法ウラン濃縮工場に米原子力規制委員会(NRC)から建設・運転許可が下りたと発表した。世界でも初めて、商業規模の分子レーザー法濃縮工場建設に道が拓かれたことになるが、GLE社では商業化への最終判断は複数の要因に基づき、次の段階で下す考え。米国では総発電量の2割を支える原子力が今後も重要なエネルギー供給源として役割を担うと認識されていることから、新たな原子炉の建設に備えて、仏アレバ社や米国濃縮会社(USEC)が遠心分離法で大規模な濃縮工場を建設中だ。

GLE社は2006年、豪州のサイレックス・システムズ社から取得した濃縮技術(六フッ化ウランを励起する分子レーザー法)を商業化・運用する独占実施権を所得。08年にはカナダの大手ウラン生産業者のカメコ社から24%の資本参加を得て、09年6月にウィルミントンでU235を8%まで濃縮可能で、最大年間生産量6000トンSWUとなる商業規模の濃縮工場建設で申請書をNRCに提出した。商用化実証ループを使った試験も翌7月からウィルミントンで開始し、その実行可能性の確認や商業規模施設の機器や設備、プロセスの設計を進めていた。

一方、NRCでは提案された建設計画について徹底した安全審査と環境影響審査を実施。今年2月の安全評価報告書で「施設はNRCの規定に準じており、従業員や一般大衆の健康と安全を過度のリスクに晒す心配はない」との見解を表明したほか、環境影響声明書でも「同施設が環境に深刻な影響を及ぼす怖れはない」と結論づけていた。

また、複数回の公聴会を通じて、一般からのコメントも聴取し、考慮ずみ。ただし、GLE社が実際に着工を決めた場合は、改めて工事計画の概要を説明する公聴会を地元で開催するとともに、建設中および操業中でも随時、検査を実施するとしている。


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