CR3で新たな改修計画案 米・プログレス社

米フロリダ州でクリスタルリバー原子力発電所3号機(PWR、89.9万kW)(CR3)を操業するプログレス・エナジー社は1日、格納容器の修理のため2009年から停止している同炉の改修計画案について、独立のエンジニアリング会社がまとめた評価報告書を地元州政府の公益事業委員会(PSC)に提出した。同報告書で見積もられた「少なくとも14億9000万ドル」という改修コストや日程などを注意深く分析評価した上で、改修工事に踏み切るか、閉鎖とするかの判断を下す方針だ。

プログレス社は09年9月、燃料交換と蒸気発生器(SG)取替のためCR3を計画停止。翌10月、格納容器の壁にSGを通す25フィート(約7.6m)四方の開口部を開けた際、厚さ42インチ(107cm)の3層構造の壁の内部に隙間が出来ているのを発見した。

この隙間は、鋼製内張の外側に形成された2層のコンクリートの間、ちょうど水平方向の鋼製テンドン(PCヨリ線)に沿って開口部周辺に広がっていたことから、プログレス社は剥がれたコンクリート層の劣化部の除去および張り替え作業を実施した。しかし、修理作業の完了間近になってテンドンの応力の作用により格納容器の壁内部に新たなコンクリート層の剥離が生じるなど、作業の長期化が予想されていた模様。

昨年1月にプログレス社を合併吸収したデューク社は今年3月、CR3格納容器の今後の改修作業に伴うコストや日程、リスク、作業範囲などのさらなる分析を含めた技術審査をエンジニアリング会社であるザパタ社に委託。同社は今回の報告書の中で、修理は技術的に実行可能だが、重大なリスクと技術的課題に対する解決が必要だと指摘するとともに、14億9000万ドルという総コスト試算を明らかにした。

プログレス社の事前の評価でコストは9億〜13億ドルと見積もられていたが、ザパタ社の報告書は修理範囲をプログレス社の計画より拡げることにより、総コストと所要期間も増大することを確認。特に、丸天井および今より低い位置でさらなる損傷が発生することを想定した「最悪シナリオ」では、コストは34億3000万ドルに膨れ上がるとしたほか、改修期間も96か月に及ぶとの見方を示している。


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