日本のPWRに100台納入 アレバ社の受動的水素再結合器

仏アレバ社は19日、日本で稼働するPWR用に受動的触媒式・水素再結合器(PAR)を約100台、納入することになったと発表した。福島事故の教訓から、全交流電源喪失時でも格納容器(RCV)内に蓄積した水素を触媒酸素で蒸気に変えるなど、水素爆発の回避によりRCVの健全性を保つのが目的だ。

米国では1979年のTMI事故時にRCV内で水素爆発したのを受け、米原子力規制委員会が81年に可燃性ガス制御系(FCS)の設置(または設置能力の保有)を安全要件に追加。が、福島ではすべての電源を喪失したためFCSが作動せず、原子炉建屋上部が水素爆発するに到った。

欧州でも多くの原子力発電所で同様のシステムを設置しているが、「PAR」はPWRで過酷事故が起きた際、RCV内の水素を電源なしで処理するために開発されたもの。アルミナの土台にパラジウムを固定した触媒を充填したカートリッジ構造で、この20年の間に採用されてきている。すでに仏国やドイツのほか、ブルガリア、チェコ、スロベニアでも原発に設置。韓国では福島事故後に教育科学技術省が策定した5年計画の安全性改善項目の中に、国内すべての原子炉に対するPAR設置を過酷事故対策として明記した。

アレバ社によると、同社製PARは世界で140の原子力発電所に設置済み、もしくは設置予定で、今年はさらなる注文も受領した。欧州やアジア地域のさまざまな原子力発電所への供給で入札も実施中だとしている。


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