双葉町が「復興まちづくり委」 当面は「仮の町」作り

福島原子力発電所事故で埼玉県加須市の旧騎西高校に役場機能を移転している福島県双葉町(福島第一5、6号機が立地)は16日、同校で「第3回双葉町復興まちづくり委員会」(委員長=三井所清典・芝浦工業大学名誉教授)を開催した。

同会議では、8月から9月にかけて福島市、東京都、柏崎市、加須市で開いてきた「7000人の復興会議」(延べ143名参加)で出された1168件の町民意見を整理・分類した中間整理が報告された。

(1)「語り継ぎたい双葉町の暮らしについて」(354件)では、自然が豊かである、空気がきれい、海の幸・山の幸が充実している、人情味あふれる町、近所づきあいのある町などが、町の特徴として挙げられている。

(2)「避難生活について」(157件)では、賠償を早く進めてほしい、賠償が納得できない、ローンの支払いが心配、高速道路の無料化を継続してほしい、仮設住宅の生活が不便である、この先どうすればよいか不安がつのる、原発事故によって家族・近所・友人がバラバラになってしまっているなどの問題が列記された。

(3)「住みたい場所(仮の町を含む)について」(124件)では、いまの双葉町には住めない、1日も早く仮の町をつくってほしい、仮の町は希望しない、町民が1か所に集まることが大切、1か所がよいが現実的に不可能、仮の町は複数があってよい、復興公営住宅を早く作ってほしい、双葉町に近い風土・気象条件のところがよい、福島に帰りたい、福島には帰れない、安全に安心して子供が暮らせる町がよい、家族がバラバラなので一緒に住みたいなどの希望が出された。

(4)「仕事・産業について」(106件)では、双葉町の名産品を復活したい、若者が仕事のできる環境が必要、双葉町の人がいる場所で事業を再開したい、農業を続けたい、新しい産業を興すことが必要、原発以外に産業がなかったことは反省すべきなどといった意見が出された。

その他では、「復興会議の運営等に関する意見」(82件)、「残したい双葉町の歴史・文化」(73件)、「情報共有とコミュニティの維持」(57件)、「除染・中間貯蔵施設について」(53件)、「教育について」(48件)、「復興への思いについて」(44件)、「医療・福祉について」(39件)、「放射線の影響について」(31件)、「双葉町の復旧・復興について」(28件)などとなっている。お墓を再建したいとの希望も出されている。

また会議では、三井所委員長・鈴木浩副委員長(福島大学名誉教授)の試案として、「今後の審議の進め方」についても提示された。

そこでは、(1)計画は短期的な課題(避難生活の改善等)、中期的な課題(本格的な生活再建等)、長期的な課題(双葉町の復興等)を網羅した長期的な指針とすべき(2)計画の対象は、いまどこに住んでいようと、今後どこに住もうと、すべての双葉町民を対象とした計画であるべき。「仮の町」に住まない、双葉町にもどらないと決断された方も含めた計画が必要(3)計画に掲げる基本理念(キーワード)をどのように考えるか──の視点を提示した。

当面の帰還までの生活拠点のあり方については、「仮の町」を中心課題として、放射線安全、職場の近接性、気候風土の類似性、学校・公民館等の公共施設、「仮の町」に住まないと選択した人に対する支援の必要性などについて、議論する必要性を指摘している。

元の双葉町への帰還に向けた中長期的課題としては、福島第一原発の廃炉作業の安全性、放射性物質の除去の程度、インフラ・ライフラインの復旧、津波被災地域の土地利用などを列挙。

現在および将来にわたる双葉町の文化・コミュニティの維持については、全国に避難している双葉町民のコミュニティをいかに維持するか、双葉町の歴史・文化を避難生活が長期化する中でどのように継承していくかが課題だとしている。

今後、特定のテーマについて集中した議論を行うためには、「生活再建部会」、「ふるさと再建部会」、「きずな部会」などが必要だとしている。


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