国内ウラン資源を活用へ ヨルダンの原子力導入計画

ヨルダン原子力委員会(JAEC)のK.トゥカン委員長は10日、国営ペトラ通信のインタビューに応え、政府が進めている原子力導入計画はヨルダン王国の今後のエネルギー確保を目的とした戦略的選択だとして、その正当性を主張するとともに、同計画に国内のウラン資源を最大限に活用する考えを表明した。

エネルギー需要の95%を化石燃料の輸入に頼るヨルダンでは、首都アンマンの北東40kmに位置するマジュダルで出力70万〜100万kWの原子炉建設を計画。最近の報道では、仏アレバ社と三菱重工の合弁事業であるアトメア社、ロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社から年内にも最終提案を受け、来年3月までにどちらを選択するか決定する方針だと伝えられている。しかし、同国議会は今年5月、同計画が国家予算に多大な負担を強いるとして同計画を一時停止する動議を採択していた。

トゥカン委員長によると、同国内では有望なウラン鉱床が発見されており、「経済的な実用性のある分量がある」。国土の中央部に確認された品位2〜2.5%のウラン2万トンにより、原子力導入計画の実行を支援出来ると断言。電力の安定供給と自立の達成が可能になると強調している。

同委員長はまた、マジュダルでの商業炉建設に先立つ運転員教育用として、ヨルダン科学技術大学で熱出力5000kWの研究訓練炉(JRTR)を建設中である事実に言及。韓国製・新型高速中性子応用炉(HANARO)となる同炉は2015年に完成予定で、総工費1億3000万ドルのうち7000万ドルを韓国から低金利融資を受けている。しかし同委員長は、同コストの少なくとも半分をカバーできる戦略的パートナーを模索中だとしており、こうした方策を通じて国庫への負担を軽減する考えを示した。

経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)と国際原子力機関が7月に刊行した「ウラン・資源と生産および需要(通称=レッド・ブック)」最新版によると、ヨルダンはウラン濃縮する権利の放棄を拒絶。JAECが発足した2008年に、仏アレバ社と国内ウランの探査共同事業体「JFMUC」を起ち上げており、09年から始まった中央部の探査活動も第2段階に入ったと見られている。

また、多国籍の鉱業資源グループであるリオ・ティント社と結んだ覚書により、国内の3地点でウランの試掘を共同実施。中国の原子力海外ウラン資源開発公司(SinoU)とも、その他の2地点で共同探査を行っている。


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