放射能吸着紙を開発 凸版印刷 汚染防止下敷きに

凸版印刷株式会社は、紙にゼオライトを重量比80%以上の高密度で充填した放射性セシウム吸着ゼオライト機能紙「FS‐ZEO(エフエス・ゼオ)」のラインアップを拡充した。薄型の特殊シートを貼り合わせ、敷設したゼオライト機能紙の回収性を高めた軽量タイプと、高強度の特殊シートを貼り合わせ、耐加重などの強度を高めた高強度タイプの2種類の新製品(=写真)を開発。最終処分場や高圧洗浄による除染の際の下敷き、フレコンバック(土嚢等に使用される袋)などの内袋用途としての利用を見込む。

「FS‐ZEO」は、東北地方の最終処分場において本格採用され、放射性物質を含んだ煤塵から放射性物質の流出が起きた際の土壌汚染を防止させるための下敷きとして活用されている。また福島県川内村で実施されている土砂や水などに含まれた放射性セシウム拡散防止の実証実験でも、ゼオライト機能紙が活用されている。

「FS‐ZEO」による汚泥の除染で、99%以上の放射性物質を除去し処理水が排水可能な水準まで低減できた採用事例もある。ロール状の紙であることから施工が非常に容易で、ゼオライト粉とパルプで構成された環境に優しい素材であることも評価されている。

なお同社は6月より、京都大学と開発した「タングステン機能紙」のサンプル出荷も行っている。タングステンは、X線やγ線などを遮蔽する機能を持った放射線遮蔽に使用されている材料であり、同製品は高密度にタングステンを紙に充填し加工性を向上している。


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