経産相「自ら最終判断」 エネ基本計画検討を再開

経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会(委員長=三村明夫・新日鐵住金相談役)は14日、「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえたエネルギー基本計画見直しに向け議論を再開した(=写真)。同委員会は、11年10月に始動して以来、多いときで週1回のペースで召集されてきたが、9月の政府エネルギー・環境戦略決定直後から中断し、2か月ぶりの開催となった。

今回会合では、国家戦略室より、エネルギー・環境戦略の進め方、グリーン政策大綱策定、原子力委員会の見直しについて説明し、目指すべき成果など、年末までのスケジュールが示され、また、資源エネルギー庁が、原子力政策の課題、省エネ・再生可能エネの取組、電力システム改革の検討状況などを説明した。

同庁では、エネルギー・環境戦略に応じた原子力政策の課題を、1)核燃料サイクル政策2)原子力人材・技術の維持強化3)国際社会との連携4)立地地域対策の強化5)原子力事業体制および損害賠償制度――に分けて整理した。その上で、今後の原子力政策の検討に当たって、各取組の検証、発電から廃棄物最終処分まで、多岐にわたる課題が存在し、これらが自治体や諸外国も含めて、密接かつ複層的に絡み合っているなどとして、関係者間、丁寧に協議しながら、総合的に再構築していく必要を述べた。

委員からは、廃炉技術開発に係る人材育成について、国の取組姿勢や海外との連携などに関する意見が多く出されたが、一方で、原子力工学系教授陣と産業界とのつながりに言及しながら、中立な議論が損われぬよう危惧する声もあった。海外事情に詳しい寺島実郎氏(日本総合研究所理事長)は、米中のエネ情勢に触れながら「脱原発」は容易ではないことを強調した。

終了時、枝野幸男経産相は、「多様な意見を集約するのは不可能」としつつ、総合エネルギー調査会の諮問機関としての役割を述べた上で、エネルギー基本計画は、委員会の意見を踏まえ、最終的には自身の責任で閣議に提出する考えを述べた。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで